第43話  神子の護衛騎士、シンリーの独白より抜粋

わたし、シンリーは帝国の準男爵家の四女として生を受けました。

貴族の家に生まれたとは言え、四女ともなれば準男爵家にとっては厄介者にしかならないのです。

何しろ帝国では女の嫁ぎ先は持参金の額で相手の家の格が決まるのですから。


「我が家では四女のお前に充分な持参金は用意できない。

お前は側室か妾として嫁いでもらう」


私にはその父親の言葉に素直に従う気にはとても成れませんでした。

ではどうするれば良いのでしょう?

私が人に誇れる能力は剣技ぐらいしかなかったのです。

ですが、女の身で剣技を頼りに生きてゆくのは難しいのです。


そして15歳の時、父からはいつまでも剣術遊びをしていられる身分ではないと言われました。

そして、少しでも良い嫁入り先を見つける為に女を磨くように指示をされたのです。

側室や妾として見染められる為に女を磨くと言うことは男に媚びる術を学ぶと言うことです.


男であろうと剣で叩きのめして来た私が男に媚びを売る術を学ぶ。

それは私にとっては虫唾が走る選択だったのです。


でも、私には選択権など無いのです。

父の言いつけに従い男に媚を売る術を学び始めました。


そんな時、私に転機が訪れます。

剣術の師範から近衛兵として勤めないかと誘われたのです。

準男爵家の四女が近衛兵に誘われる?

普通はありえないことです。


そしてそれには当然のように理由はありました。

近衛兵としてお仕えする相手は傍流皇族の婚約者の方だったのです。

そして皇族の婚約者としては身分の低い子爵家の娘でした。


つまり、近衛兵としてお仕えしても将来の栄達は難しいのです。

ですから、私のような身分の女にも話が来たのです。

でも、私にはこの話を受ける以外の選択などありません。

こうして、私はマリー様の近衛兵になりました。


そんな思いでなった近衛兵ですが、思いのほか近衛兵としての日々は私にとって充実したものでした。

ですが転機が訪れます。

王国出兵です。


普通であれば皇族の婚約者が戦場に出ることはありません。

ですが、マリー様の実家は帝国の30剣と呼ばれる武の家です。

その武を示し、マリー様の血が皇族に交わる価値がある事を示す必要があったのです。


そして、予想外の大敗北の中、私たちは王国軍に囲まれて降伏します。

それからは地獄の日々でした。


マリー様の安全を盾に私たちは王国兵の慰み者へと落とされました。

最初は王国貴族の玩具として、飽きられてからは平民の玩具になりました。


今でも私の乙女を散らした夜の事は忘れられません。


「私は無様な帝国の敗残兵です、ほら言え」


「私は無様な帝国の敗残兵です」


「これからは王国兵の皆様をご主人として仕えます」


「ふ、ふざけるな、そんな事が言えるか」


「そうか、お前は不忠者だな。

お前が私に逆らえばその罪はお前の主人であるマリーが背負うんだぞ。

この意味は分かるよな」


マリー様の貞操を人質に取られては私にはなす術などありません。


「く、王国兵の皆様をご主人として仕えます」


「その証としてヒーリ様に私の身体を捧げます。そう言って裸になれ」


裸になる。

この明るい部屋で、こいつの目の前で。

でも、私はそれを受け入れるしか有りません。


「ヒーリ様に身体を捧げます」


そう言ってから服を脱ぎます。

男の下卑た視線が私の身体を舐め回すように見つめる中、私は服を脱ぎ下着姿になります」


「俺は裸になれと言ったんだ」


どこまでも下卑た男でしょう。

私の名誉を全て奪う気です。

そして私は窓から差し込み日差しを受けながら下着を脱いで男に裸体を見せる事になるのです。


「ふん、お前は俺の戦友のルイスを殺した女だ。

それに相応しい償いをさせてやる。

まずは跪いて俺の靴を舐めるんだ」


ルイス、私が戦場で殺した男。

でも、殺さなければ殺されていた。

それが私の罪だというのか!


「なんだ、その反抗的な目は」


言葉と共に拳が飛んできます。

腹に入った拳が私を跪かせます。

首を押さえつけられて沈んだ顔の先に靴がありました。


「ほら、舐めろ」


無理やり押し付けられた靴に唇が触れます。


「自分の立場を弁える事だ。

今日からお前は俺たちに仕える奴隷なのだからな」


その男の言葉の通り、私は奴隷に落ちました。

未来の夫に捧げるべき純潔はヒーリーに奪われました。

それも、獣のようの四つん這いにされて後ろからです.


「お前は人じゃないからな。これで充分だ」


私の純潔を貫きながらヒーリーはそう言いました。

そして、そう扱われたのです。


ヒーリーは裸のままの私を犬と同じように首輪と鎖で拘束しました。

私はヒーリーの部屋で飼われることになったのです。

食事から排便まで犬と同じ扱いを受ける事になったのです。

そして、ヒーリーの気分の赴くままに扱われるのです。


そんな生活にも終わりはきます。

私の身体に飽きたヒーリーは私を兵士の慰み者へと落としました。


それからは毎日何人もの男が私の体の上を通り過ぎていきました。

私の中には常に男たちに注ぎ込まれた精がありました。


もう私には昼も夜もなく、私にのし掛かる男がいる時間といない時間の2つしかありません。。

そして、私は裸のまま家畜の輸送用の馬車に乗せられました。


その馬車は盗賊に襲われて私たちは盗賊の家畜へと変わります。

王国兵崩れの盗賊は帝国との戦いで敗れた敗残兵の成れの果てでした。


奴らは私達の身体を貪るだけではなく、文字通り壊して遊ぶのです。

最初に私の不浄の部分を使われました。

そして戯れに爪が剥がされます。


私達の苦痛の叫び声があいつらの酒の肴でした。

その行為は段々とエスカレートしてゆき、ついには帝国兵に腕を切り落とされたのです。

男が復讐だと叫び、私の右腕はその男に切り落とされました。


それからは良く覚えていません。

生死の境をさまよいながら苦しんでいました。

ただ時折そんな私にのし掛かる男が現れたのは薄っすらと記憶に残っています。


次に気づいた時、私は可愛らしい子供におっぱいを吸われていました。

男に嬲られた私の醜い体を求める殿方などもういないと覚悟していたのに、愛らしい男の子は無心に私のおっぱいに吸い付いています。


男に触れられる事が苦痛でしかなかった私の感情が揺らぎます。

愛らしい子に咥えられた乳首からおっぱいが噴き出します。

幼子の慈愛に満ちた刺激に私は包まれます。

それはとても心地が良い物でした。

私が人として、女として認められている、そんな感覚を呼び起こすのです。


その感覚が私の子宮を揺さぶります。

そして幼子の手の先に光が満ちてそこからガラス瓶が現れるのです。

幼児はそれをポーションだと言い半死半生の私に口移しで飲ませるのです。


そのポーションは幼子からの救いであり、まだ生きたいと言う私の心の叫びでもありました。

ああ、そうなのだ。

新たな生命の創造場所である私の子宮が私に生きろと言ったのだ。


その時、私は理解したのです。

この、幼子と共に生きる為に今までの試練があったのだと。


それからは幸せな日々が続きました。

幼子、オイゲン様は私達を健康な身体に戻し領地に連れ帰りました。

そこで与えられた館でマリー様をお守りしながらオイゲン様に仕えました。


そんな私たちにとって最上の時はオイゲン様のポーション作りをお助けする時です。

オイゲン様の手が私のおっぱいを掴み、私の乳首がオイゲン様が口で含まれる時、私は無常の喜びに包まれます。


オイゲン様が作るポーションに私の子宮の生命力が役立っているのです。

男達の慰み者となり、男達の欲望で満たされた汚れた私の子宮が人を救うポーションの材料となっているのです。

私にとってこれ以上の救いはありません。


そして、オイゲン様の真の奇跡で私はまた救われるのです。


それは賊がいきなりお屋敷を強襲したことで始まりました。

私達は賊と戦いましたが片腕が無い身体では賊の敵ではありませんでした。


でも、このような場合に備えてオイゲン様が作って下さったパニックルームにミルがマリー様を連れて隠れる事は出来たのは幸いでした。

そんな賊達は私達と同じなまりがある言葉を話しています。

間違いなく帝国兵ですが、マリー様や私達を王国から救いに来たとは思えません。


そしてそれは正しかったのです。

戻られたオイゲン様の目の前で私の残された腕が切り落とされました。

ただ、警告だけのために。


次はオイゲン様のお母上の腕を切り落とす.

そう賊が荒げれ声を上げた瞬間。

賊の隊長を除いた全ての賊がオイゲン様から死を賜りました。


そして逆上する隊長は剣を構えてオイゲン様に斬りかかろうとしますが一瞬で両腕を吹き飛ばされます。

まさに奇跡です。


翌朝、オイゲン様が私を見舞って下さいました。

オイゲン様は私の残された腕が失われた事を自分の失態であるかのように謝られます。


でも、そんな必要など無いのです。

私は両腕を失いましたが私のおっぱいが無事であれば少しも問題などありません。

私はまだオイゲン様のポーション作りのお手伝いが出来るのですから。


それでも私が両腕を失った事をオイゲン様はまるで我が身に起きたかのように嘆いてくださります。


そして私は真の奇跡を見るのです。


オイゲン様が私におっしゃいます。


『腕があった時の私の美しい身体を思い出しなさい』


私はオイゲン様のお言葉に従って過去の自分を思い出します。

そこにいるのは剣の道を極める事をひたすらに求める自分です。

両腕で剣を握りひたすら鍛錬を繰り返す私の姿が思い出されます。


あの頃の自分に戻りたい。

心からそう思った時、オイゲン様に吸われている私の乳首に子宮から生命力が流れ込む気がしました。

その流れに私は身を委ねます。


次に気づいた時、私はオイゲン様から口移しでポーションを飲まされていました。


そして私は光に包まれます。

そして、その光にはなぜか私の腕もあるのです。

その光の場所に私の美しい腕があったはず。

そう思った途端に光の中から私の腕が現れました。


オイゲン様の奇跡で私は両腕を取り戻したのです。

これは神の啓示でしょう。

私のこの腕でオイゲン様をお守りしろと言う啓示です。

この先の私の使命が示された瞬間でした。


こうしてオイゲン様の護衛騎士、シンリーは生まれたのです。














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