第14話氷の女王と襲撃と襲撃

聡の襲撃から1時間、聡達は黒兎の家に何度か入ったことがあるので気づくことが微妙に鋭い。

マジでこのままだと雫と同居している事がバレそうであった。


「黒っち、なんかやけに食器多くないか?」

「おいおい、こっちにこんな可愛い帽子あったか?」

「怪しいな」

「怪しいな」

「怪しいくない!」


マジで鋭い。黒兎は基本人と関わるのが苦手だが、この2人は別である。

黒兎が中学2年の時ある事で孤立しかけた時、陽が声をかけてきた。黒兎はその時とても驚いた。

クラスカーストの高い陽が、最下位の自分に声をかけてきたのだ。そして、陽がとても優しく、他の人と対等に自分に接してくれたことが嬉しくて、気づけば陽と黒兎は友達と呼べる関係になっていた。

聡は中学3年の時にしつこく関わりを持とうとしてきた。最初は苦手なタイプでさっさといなくなればいいと思っていたが、聡がしつこ過ぎて黒兎が折れた。しかしそれから聡と黒兎と陽は3人で遊ぶようになり、気づけば松竹梅という3セットとして学校で認知されるようになっていた。

勿論松は、陽

竹は聡

梅は黒兎である。


色々あり、結果、黒兎の数少ない友達と呼べる存在の2人である。そして何より2人とも鋭い観察力を持っているため、場の空気を読むのがとても上手い、なので本当に嫌なことはまずしない。だから嫌いになれないのだ。その観察力が現在悪用されているのだが。


「そろそろ帰れ!」

「仕方ない」

「帰るとしますかぁー」

「はよ帰れ!」


観念して聡と陽が帰ろうとした時。


ピンポーン


インターホンがなった。誰だろうと、玄関を開けると、そこにはトラックと業者さんがいた。

そして黒兎は思い出す。

ベッド届くの今日じゃねぇーか!!!


「あれ?」

「黒っち?あれあれあれ?」

「そのベッドは何かな?」

「机も」

「そして可愛いクローゼット」

「あれれおかしいぞー」

「いや、これはだな…」


まずい。非常に不味い。バレる。あかんヤツや。


「ちょっと待ってくれ頼むから」

「まぁ仕方ないな」

「しかたないなー」


黒兎は全力で雫の元に行く。状況を話、母が帰ってくるので新しいベッドを買ったという苦し紛れの言い訳をするため、雫には黒兎の部屋で待機してもらうことにした。


「あのだな…明日母さんが帰って来るんだ。しばらく滞在するからそのベッドだ」

「いつもは黒兎の母さん敷布団だよな」

「なんで知ってんだ」

「いや、部屋に敷布団あったから」


鋭い。


「それに黒っち、この机はなんなんだ?どう見ても勉強机ぽいけど」

「それは、あれだ。母さん資格取る勉強するから」

「資格って?」

「管理栄養士」


「へぇー」聡と陽がこっちを見てニヤついてくる。鋭い鋭すぎる。


「まぁいいよ」

「今日はこのへんにしといてやろう」

「……………」


聡達はそのまま家を出て行った。ホッと安心すると同時に二度と聡達を家に入れてはいけないと決心する。


すぐにベッドや机、クローゼットを雫の部屋に運んでやる。

今日は疲れた、その後雫は「これが私のベッドね。いいわ。落ち着く」とどうもご満悦らしい。ご飯の後すぐに風呂に入って部屋に行ってしまった。

黒兎もこの土日の疲れでベッドに入るなり即爆睡してしまった。



時を遡ること聡達が家を出た時。


「黒っちも色気ずきやがったな」

「そうだな」

「あんまいじったりするのも可哀想か」

「程々にな」

「しかし一体相手はだれだ?」

「黒兎が同居しているとか考えられねぇな」

「あぁ。しかも女だなんてな」

「そうだな」


聡達は、黒兎の家のベランダを見る。

そこには黒兎の服と女性ものの下着、服、パジャマのようなものも確認出来た。


「隠すの下手すぎ」

「だな」


聡達は黒兎の相手を想像しながら帰るのであった。

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