パペット
それでハンナさんと会話を続けること数十分……悲しいかな、別れの時間は突然やってきた。
「あっ……もうこんな時間! そろそろ帰らなきゃ」
「えっ……あっ……はい」
「もーアル君、そんな悲しそうな顔しないでよー……ほら、何か困った事あったら力になるから!」
……そんな泣きそうな顔してたの僕?
「……」
「それじゃあまた──」
それでこの時僕は何を思ったのか。引き止めたかったのか、もっと話がしたかったのか分からないけど……咄嗟に声を上げたのだった。
「こっ、困ってます!」
「えっ?」
「僕…………の友達が。魔剣に呪われてて困ってるんです! だからハンナさん……が何か解決策を知ってたら……教えて欲しいな……ってそれで……」
もちろんこれは咄嗟に言った事なので、本当に答えを求めている訳じゃないし、期待した答えが返ってくるとは思いもしていなかった。
けど、それを聞いたハンナさんは少し「うーん」と考えてくれて……
「そんな子がいるんだねぇ……それならその魔剣を
「
予想外の答えが返ってきたのだった。
「うん、人形。ほら使い魔とか魔獣とかってサイズが大きい子が多いでしょ?」
「あっ、はい」
「だから基本は何かボックスやボールに閉じ込めておくわけだけど……ずっと閉じ込めるのも可哀想だって言う人がいたの」
「へぇ」
まぁ魔獣とはいえテイマーから見れば、可愛いペットみたいなものだもんな。でも街中で歩かせたりは出来ないよな……
「そこで人形に魂を入れようって話になったんだよ」
「人形に?」
「うん。基本は人形として過ごして、戦う時には魂を本物の体に戻して戦う……って事をしているテイマーの人も多いみたいだよ?」
「へぇーそうなんですか!」
初めて知った……そうだ。今思い返してみれば、何か肩にちっちゃい何かをのせてる人を見た事あるかも……!
「うん。それで今では魂を入れてくれる『人形屋』もあるんだよ?」
「へぇー! 詳しいですねハンナさん!」
「ふふーん! ……あ、本当に仕事に遅れそう! だからもう行くね! バイバイー!」
そしてハンナさんは手を振りながら、急いでここから去るのだった。
「あっ、ありがとうございました!」
僕はハンナさんの背中にお礼を言う……こんな有力な情報を教えてもらえるとは思ってもいなかったよ。流石ハンナさんだ。
早速僕は『人形屋』に向かおうとする……前にちょっとシンに聞いてみた。
「……シン」
「ンだよ」
「お前を人形にしてやろうか?」
「……」
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