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・舞台


結晶化世界


・概要


一面結晶に侵食された世界。

麦畑、果実の実った木々、あぜ道に朽ちた風車、倒れた馬や放置された馬車、へたり込んだ旅人、全てが薄く透明な結晶に覆われて静止している。

結晶は熱伝導率が低いらしく、触れると冷たい。また硬くて鋭いため葉などの先端に迂闊に触れるとザックリと切れる。また絶縁体で、融点も高く、化学腐食にも強い。概ねガラスと同程度の性質を持つ。

結晶はゆっくりとだが無限に絶え間なく増殖、侵食を続けており、触れているあらゆるものの表面に広がり、閉じ込める。

ただ立っているだけならば足の裏が張り付いてつまずく程度だが、一分も触れたままでいると目に見えて結晶が張り付く。

侵食は無制限ではあるが、発生源がどこか遠く、地中深くにあるらしく、分離した結晶の欠片だけではそれ以上増えない。

結晶が太陽の光を反射するためかなり明るく、夜でも星明りが屈折するためか昼間のように明るい。風は強いが音や臭いといったものが乏しく、この世界が死に絶えていると間隔で感じとれる。


・名前


『輝ける大魔導士』ガリーン


・外見


148cm 43kg

枯れ木のようにやせ細った老人。

褐色肌にはひび割れのような細かな皺がいくつも刻まれ、白髪の太く長い眉毛に顎髭、ほぼ閉じている目は開くと右目は黒曜石の義眼で左目は緑内障でほぼ見えない。

体も同様に細く、若干腹がポッコリ出ている程度で、後は骨と皮、その背中には比較的新しい切り傷がある。

頭には頭部を一回り大きくするほどの白いターバンが、服装も白い布を巻き付けただけの簡素な格好をしている。

自力で歩くことは少なく、代わりに横2m縦4mほどの赤字に細かな呪文が織り込まれた空飛ぶ絨毯で移動している。

並みの魔術師ならばその魔力を一切感じることができず、一定以上になって初めて高密度に密閉された魔力を感じることができる。


・経歴


とある異世界にて多くの弟子をとり、育ててきた魔術の大御所。

転生者が現れた時も弟子入りさせて導くも、魔法魔術は一切教えず、純粋な学問と道徳をひたすらに教え続けた。

それは現実世界から逃げ出した弱さと、女神に与えられた借り物の強さで自分が成長しているとうぬぼれている転生者への正しい教育だった。

それにぶちぎれた転生者が襲い掛かり負傷させた上、女神に直訴、それを受け女神は喧嘩両成敗とはせず、転生者に肩入れし、この世界へと流した。

以前より女神や神々の存在を察知しており、転生者の存在をよく思わず、対抗組織を秘密裏に作っていた過去もある。


・性格


耳の遠い、ぼけたっぽいジジィ。

実際はちゃんと聞こえており、思慮深く、経験もあってか短い一言二言で真実を述べる。

スパルタ方式で、教え導く方法はかなり厳しく見えるが、実際のところは限界手間を見据えてちゃんと計算してやっている。

その一方で楽して結果だけ求めようとするものを嫌い、苛烈に叩き潰して屈服させるのを最後の生きがいにしている。


・能力


身体能力はもう限界、ただでさえ老いた体に転生者からの攻撃が響き、冗談抜きにもうすぐ寿命が来る。

立って歩くのも難しく、現代医療で見れば人工呼吸器が必要なレベルで弱っている。

視力もほぼないが、耳はいいので足音や結晶の砕ける音、風音の変化で敵を見極める。

魔術の絶対量も同様に低いが、それを完璧ともいえるコントロールで操作し、最小コストで最大効率を実現している。

空飛ぶ絨毯

まんま空が飛べる。アーティファクトで、ただ乗っているだけで自在に浮かび、飛べる。魔術コーティングによりかなり丈夫で、真下からライフルで撃たれても乗っているものには何も感じない。

光魔法

光を操る魔法。珍しい属性で、本来は万能ともいえる応用力があるが、今の体力では基礎で精いっぱい。

キラ

光の刃。

指先からナイフのような光の刃を作り出し、飛ばす。当たれば当然切れる。切れ味は抜群だが巨度が低いだ溜め骨までは届かない。

キラリ

現状、使える中で最高の攻撃魔法。ギロチンを思わせる巨大な刃を作り出し、ざっくりと切り裂く。魔力をこめればこめるほど無尽蔵にサイズ、切れ味が上がっていく。

キラキラリ

自身の魔力と命を全て打ち出す最後の魔法。全盛期でなら大陸を両断できる威力だが、今のこの体ではどれほどか、そもそも完成できるかも怪しい。


・戦法


体力温存のため、自身から動かず、相手が近寄るまで待つ。

いくつかの問答、自己紹介、かみ合わない会話から相手をいら立たせて、反応を見て、そこから相手の本質を探り、殺すべきかどうかを見定める。

殺す場合は一気に、そうでない場合は育てるために手加減して、結局は攻撃してくる。

勝つことよりもチートなどに頼らない真の強さを教えること、正しい道を示すことを目的としている。なのでこれが最後の授業であり、同時に女神への最後の反撃でもある。


脅威

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