第39話 個性的なファッション

部屋を出てゴルを連れて一階にむかう。朝食は宿の一階で食べてゆくのが俺の日課だ。


一階では玄武亭の看板娘のカリンが声をかけてくる。

「ショウさん、今日はまた個性的なファッションですね。」


このファンタジーの世界で野球のユニフォーム着てればそう言われるよね。ただ「個性的」という言葉で抑えてくれただけましかもしれない。「変な」といきなり言われたら凹みそうだし。


「ああ。これは女神ミウラを信奉する者の宗教装束の一つだよ。」

異世界で野球のユニフォームを着る事になったのは、ミウラのへっぽこ祝福ギフトのせいなのだから、ミウラに責任とってもらおう。


そうなんですか〜とニッコリ笑って、カリンは朝食を出してくれる。


朝食を食べた後、門に向かって歩く。野球のユニフォームを着て、ゴールデンレトリバーを連れている俺は目立つらしく、色んな人の視線が集中して来る。


やがて門に着くと門番のヤークが声をかけて来る。

「ショウ。変な格好だが、芸人にでもなったのか?」


変なと言われるとやはり凹む。


「いやいや、ミウラ教の宗教装束だよ。」


「ああ、そうなのか。町の外に出るなら気をつけて行けよ。その衣装は防御力低そうだから。」


「ああ、ありがとう。」


町の外に出てしばらく草原を歩くと、腕時計が振動する。

ウォーウルフだ!

草野球装備での初めての戦いが始まる。




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