①-3


「あー抜いた抜いた。まあまあだったか」

 長崎が煙草を吸いながら、後ろのメンバーに話しかける。

「いや、優介やっぱ凄いわ。多賀まで落とすなんてな」

「楽勝っしょ。こういう奴ほど、寂しいんだよ。な?」

 そう、長崎の横で襤褸切れのようにベッドに横たわっている裸の女性に声をかけた。金髪でショートカットのその女性は、ぴくりとも動かない。

 多賀だ。

 どうしてこんな男にほいほいと付いてきてしまったのか。

 格好良かったから? 寂しかったから? 楽しそうだったから?

 今更考えても仕方の無いことを、多賀は放心状態でぼんやり考えていた。今の状況と違うことを考えないと、狂ってしまいそうだったから。

 だが、そんな多賀を許さぬように、バンドメンバーのひとりが多賀の腕を取った。体を仰向けにし、胸を吸おうとしてくる。

「何だよ、もう反応なくなっちまったの? つまんねえなー」

 ふざけたことを言いながら、それでもいきりたった自分の愚物を多賀のそれにあてがい、入れようとした。

 その時。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る