夜の遊び
「あーがりっ!」
「だーっ!くっそ!」
「先越されたー!」
「ふふ〜ん♪それじゃあちよよんのお膝いただきー!」
「うわっ!もー、私の膝は景品じゃないよ叶奈ちゃん」
「ごめんごめん。ん〜♪ちよよんの足すべすべのぷにぷにで最高だぁ〜♪」
「ったくもー……仕方ないなぁ」
「うぇへへへへ♪」
銭湯から戻り、仕込んでおいた夕食をさっと調理して食べた後、俺達五人は居間に貼られた蚊帳の中に引いた布団の上でトランプに盛り上がっていた。
「いよし!俺の勝ちっ!」
「だぁー!また負けた!皆強くない!?」
「少なくとも俺は昔から千代とよくこういう事やってたからな」
「あはははは」
昔っから俺の遊び相手だったもんなぁ礼二は。カードに運動に、並大抵の奴には負けないくらい俺との遊びで強くなってるとは思っていたが……
「その割にはれーくん、叶奈だけじゃなくてみやみやにも負けてたけどな!」
「うぐっ!そ、それはほら、女には優しくしないとだからな!」
「私はそんな軟弱者に育てた覚えは無いぞれーいじー」
女相手だから負けてやっただなんて言い訳はさせねぇぞコノヤロウ。真面目に本気でやらせてやる。
「い、いや、でもいつもは千代────」
「次は、手を抜くなよ?手加減は言い訳に使う言葉じゃないぞ?」
「は、はい。わかり、ました」
「分かればよろしい。さて、それじゃあ次は何しようか。ポーカー、スピード、尻尾にブラックジャック、なんでもいいよー!」
俺が久しぶりに発したマジなトーンに気圧されたのか、少し怯んだ礼二の返事を聞いた俺はそう言うとパラパラパラとスプリングを披露しながらトランプを混ぜる。
「あーあ、なにやってるのれーくん。ちよちーが女の子扱いされると怒るの当然知ってたでしょうに」
「それは勿論知ってたし、悪いと思ってる。でもさ、一回でいいから本気の千代と勝負してみたかったんだよ」
「ん?何かいった?」
なーんて、きっちり聞こえてるよ。全く、礼二がそんな大口叩くとは思ってもいなかったよ。
「いや、何も言ってないぞ。所で千代、せっかくだし大富豪やらねぇか?」
「あー、確かに五人居るし丁度いいかもね。よし、次はそれやろうか。皆もいい?」
「僕は花宮さんさえ良ければ」
「叶奈、大富豪なら自信あるぞ!」
「わ、私も少しは……」
「よし!それじゃあ大富豪で決まりね!」
こうして、次にやるカードゲームは大富豪と決まったのであった。
ーーーーーーーーーー
「にーさんしーご、っと。はい、それじゃ皆手札確認してねー」
「さて、酷い手札じゃなければ……っと、これは結構いいかもしれん」
「むふふふふ、叶奈も結構来てるぞー」
「いいなぁ二人共、私はまぁ妥当って所かなぁ……神井くんは?」
「僕もそんな感じだね」
「割もと皆良さそうな感じみたいだね。それじゃあ皆がカード並べ直してる間に、一応ルール説明しておくね」
「「「「はーい」」」」
「先ず皆の細かいルールの違いでごちゃごちゃなるのを防ぐ為に、革命、イレブンバック、スペ3、階段、重ね数字、縛りは無しね。八切は違い無いだろうしアリで」
「正直、俺と千代は知ってるルール同じだし問題無いな」
「叶奈としてはややっこしいルール無くて逆に嬉しいぞ!」
「確かに、ルールを使った戦いじゃない分実力勝負になって面白いかも」
「正直ルールあんまり知らないし私は助かったよー」
「よし、それじゃあルールもこれで大丈夫だね。それじゃあ後は皆並べ終えたらさっき最下位だった神井君から時計回りに始めようか」
「「「「はーい」」」」
よしよし。さてルールも説明しといてなんだが……正直これはなかなか辛いぞ……
そう場を仕切りつつ話していた俺の手札には、一番大きな数字が9、一番小さな数字が4というなかなかに厳しいカードが揃っていた。
2はともかく、1も一枚すらないだけでなくまさか11、12、13の絵札すら一枚もないとは……
「これ勝てたらなかなかに奇跡だぞ……」
そんな少し不安なスタートで俺と礼二の互いの本気を試す大富豪が始まったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます