フレンドS
「あ〜、ほんっと恥ずかしかったよ〜」
「なー!なんで女の先生いるのにわざわざ男の先生が叶奈達見るんだろうなー!」
健康診断も兼ねた身体測定とはいえ、正直パンツ一枚だけになった女子の健康診断の場に堂々と男性教員が居るのは問題だよなぁ。
元の時代だとどうなのかしらんがいくらこんな時代とは言え、こればっかりは何とかならないもんかなぁ……幾ら元男とは言えあんな下心丸出しで見られたらどうも…………
「ちよよんは大丈夫だった?」
「さっきから黙りしてるけど、ちよちー大丈夫?」
「あ!うん!大丈夫だよ!」
健康診断も終わり皆で着替えた後教室へ戻っている道中、俺が顎に手を当ててそんな事を考えていたせいか、俺は一緒に歩いていた二人に心配されてしまったのだった。
「ほんと、何とかならないかなぁ」
「「ねー」」
「それでどうする?今日はこれでおしまいだしこの後どこで遊ぶか!?」
「私今日はお花畑にいきたいなー」
流石女子、話題の変わる速さが凄まじいな。後綺月ちゃん、頼むから百歩譲っておままごとはいいとして、せめて赤ちゃん役は勘弁してくれ……ん?あれは……
「おーい」
相変わらずな女子のパワフルさを前にそんな事を思っていた俺は、ふと廊下の先に見慣れた人影が立っている事に気がつき手を振って声をかける。
「おーい、れーじー」
「あ、千代ちゃん」
「身体測定おつかれー、どうだった?」
「ふふん!聞いて驚け、なんと!身長が二センチも伸びてたのだ!どうだ!凄いだろ!」
あーやばい、どやぁってしてるのが凄く可愛い。むぎゅうってしたくなる。これがお姉ちゃん達から見た俺の感じなのだろうか。
「すごいすごい。千代、よしよししちゃうのです」
「だー!やーめーろー!」
そうやって俺は「俺よりも低い」頭をよしよしと撫でてやる。
この可愛い生き物はみんなご存知桜ヶ崎礼二、ここ数年で俺に背を抜かれ少し生意気に育ってしまった俺こと千代の大切な幼馴染だ。
「おーおー、今日もやってるねー」
「相変わらずちよよんとれーたろーはラブラブだな!」
「ラブラっ!?」
「あははは、確かに私と礼二は幼馴染だけどそんな仲じゃないよー。ね、礼二」
「お、おう……」
「ほら、礼二もこう言ってる」
全く、幾ら二人でもそういう事でからかうのは良くないぞ。
「ちよよんってさ……時々酷いよな」
「れーくん、がんばれー」
「ん?二人共何か言った?」
「「んーん、なにもー」」
息ぴったり声も揃えてそう言った二人に俺は首を傾げつつも、まぁいいかと俺は話を切り替えたのだった。
その後、礼二も含め俺達は四人で当初の綺月ちゃんのお願い通り、神社のある山の裏手にある花畑で追いかけっこしたり花の冠を作ったりして遊んだ。
我ながら結構楽しめたのには少し気をつけよう。
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