第1335話 42枚目:準備完了

『【響鳴】スキル保持者に囲まれた状態で【王権領域】を展開しても、効果に変化はありませんよ。【王権領域】分のステータス変化は1度の発動で1人に対して1回しか発動しませんので』

「【調律領域】の同時展開も問題ありません?」

『問題ありませんね。【王権領域】1回分のステータス変化はありますが、効果基準はあくまでルミル様のステータスですから。通常のステータス変化魔法を重ねる方が変化します』

「あっバフで効果上昇するんですね【調律領域】って。ありがとうございます」


 という事だったので、一安心だ。しかしさらっと新事実が判明したな。【王権領域】が1回きりっていうのもともかく、【調律領域】ってバフの効果かかったのか。相変わらずこの眷属さんは。

 なお【王権領域】の範囲から出入りした場合の挙動は既に分かっている。範囲から出たらバフが切れて、入りなおすと再びバフがかかる。だから重なるのかと思ったが、1人1回って事は、恐らく効果対象人数の方が増減した、という形になるんだろう。

 まぁ無限にステータスが上がり続ける危険が無いなら問題ないな。カバーさんに情報を共有しておいてから、安心して【響鳴】スキル装備を2つつけて突入しよう。


「ねぇ姫さん。そういう事じゃないんだけどなーって感じがするんだけど!」

「そういう事にしとけ。他の理屈を持ち出すだけだ」


 何やらサーニャから異論が出かけていたようだが、エルルに止められていた。しかし止め方も酷いな。今までの行い? えー。

 まぁともかく。本命は【響鳴】ではなく【結束】だ。どうやらグラスファイバーは素材扱いだったようで、それでレースを作ったり他の何かに編み込んだりした時点で【結束】が付与されるかどうかの判定が発生するらしい。

 「響鳴の大水晶」を使って作られた「共鳴結晶」は結構な大きさだったようなので、私の装備を作ってからあの組紐に編み込んだ現在でも、まだまだ余裕があるようだ。


「そして組紐に無事【結束】がついたという事は、うちの子全員で行けるという事です。人数制限がなくなった上に絶対厄介な事になっているんですから、もちろん全員で行きますよ」

「島の防衛は大丈夫か?」

「そこは霊獣達と島に残ってくれる人達にお任せですね。クランハウスとしての制限はもちろん、各種結界も重ね張りしてますし」


 なお、今回連れていくか迷ったのはルウとミラちゃんだ。ルウはいわずもがな耐性があれだし、ミラちゃんはうちで預かってるだけで【縁】でテイムしてる訳じゃないからな。

 結論としては、ルウはもう1個【結束】のついた装備を渡して私の種族スキルのパッシブアビリティから耐性を上げるものを発動してもらい、ミラちゃんは「第一候補」の島に一時的に移動してもらう事になった。

 何で移動したかって言えば、それはもちろん私を始めとしたメインメンバーがいなくなるからだな。……研究所の人達から離すって意味で。でかい釘を刺したから大丈夫だとは思うし留守中にやらかすなよ? と改めて釘を刺してきたものの、それでも不安要素だからなー。


「私にすら定期的に素材をねだってくるある意味強者ですからね。私達がいない状況だと、島に残ってくれる人達がいてもやらかしかねない疑惑が」

「研究者ってほんとこう、加減と遠慮をしないよな……」

「やっぱり締めてこようか」

「とりあえず言葉で引きますからセーフで」


 ただしとりあえず、と、言葉、の間に、まだ、と入るが。これぞ日頃の行いってやつだろう。もちろん島に残ってくれる竜族部隊の人達と、ヘルマちゃんとアリカさんも気にしてはくれるだろうが、それはそれとして。

 さて。改めてルールの本体に留守中の防衛をお願いして、ルイルがルールの分体を持っている事を確認。組紐はしおりにしているらしく、それで装備扱いになるとの事なので【結束】は発動している。


「久々に総力戦ですね。相手が相手ですが」

「異世界からの侵略者と、邪神の信徒を同時に相手にしないといけないからな」


 既に「第一候補」は現地入りしているし、制限時間のスタートは金曜日の昼だ。多少は進展がある状態の筈なんだが、どうなってるかな。

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