第1316話 42枚目:展開予想
ここまでの憂さ晴らしをするかのように高威力アビリティが次々と叩き込まれているが、流石に内部が大変な事になってきたので、ちょっと手を止めて掃討する事になったようだ。
ギミックはギミックなので手間はかかるのだが、そこはまぁ司令部なので。上から攻撃していた
なお私は攻略補助として、壁系魔法を山ほど設置する為に入り口から中を覗き込む形で参戦している。
「しかしまぁ、色違いのモンスターを順番に倒さないといけないとか、同じモンスターを同時に倒さないといけないとか、本当に面倒なギミックが盛りだくさんですね」
「混ざって大変な事になってない?」
「一応混ざりはしないみたいですよ。数が多いせいで他のモンスターに紛れてしまう事はあるみたいですが」
「それはダメなんじゃないかな」
ちなみにエルルは内部というか前線組に合流している。モンスターの数が数だし、まだ闘技場は闘技場だ。大規模破壊は非推奨なままだから、ちゃんと狙えて火力の高い攻撃をたくさんできる人は必要だ。
そんな感じだし、例によっていろんな形の檻が上から鎖で吊り下げられている。ギミックを解除するまで檻を壊すことは出来ない、というのは共通ルールなのか、かなり邪魔そうだ。
まぁ本来なら、ここまでギミックが渋滞する事は無かったんだろう。たぶん。恐らく。
「ギミックがある種囮だとは思いませんでしたね。……それにしても、何が条件で大きさが変わったのやら。内部で発動した魔法などの魔力を回収されていたんでしょうか」
「んー、ボクはどっちかというと時間じゃないかな? って思うよ。あんまり考えたくないけど、相手は神に影響することが出来るんでしょ? なら、時間経過でこの闘技場を取り込んで大きくなってる、っていうのが一番あるんじゃないかな」
「なるほど」
戦闘とか戦略に関しては普通に賢い、というか、普段のテンションと出来ない時の出来なさがあれなだけで、頭自体は竜族らしいステータス相応に良いサーニャだ。大体合っているだろう。
やっぱりレイドボスの本体が推定でも分かっていたなら、そっちを殴るべきだったな。ギミックは前半だけで十分だった訳だ。いや、目の前の仕掛けを囮にして別の場所に肝心なポイントがある、っていうのもギミックだけど。
「となると、やはり闘技場を完全に取り込まれる前に何とかしておきたいですね。……闘技場を全て取り込まなければ倒せない、とかでなければ、ですけど」
「それはとっても面倒だね? というか、それなら本体はどこにいるのさって話だと思うよ姫さん」
「この亜空間の中にはいる筈なんですが……それこそ、殴れるほどの実体を得る為に闘技場が必要、ってパターンもありそうで」
「え、今回のって非実体というか概念的な相手なの?」
「可能性の話ですよ。そもそも亜空間という場所自体が空間的には不安定な物ですし、その隙間とかに入り込まれていたら、通常手段では手が出せませんから」
「うーん、それはそうなんだろうけど……」
「もしくは、闘技場という神の力の塊を食わせる事でよりこちらの世界のルールに近づけて、それでようやく殴れるようになる、とかでしょうか」
「うわー、面倒。あれ、でもそれだと事前に阻止しちゃったらダメなんじゃ?」
「既に取り込んで、こちらの世界のルールに従わざるを得なくなっている部分から削るのは問題ないでしょう」
そうかなぁ? とサーニャは首を傾げているが、とりあえずはそういう感じだ。実際にはフラグ管理やボス戦の展開の都合ってやつかも知れないが、理屈をつけるとするならそうなる。
ちなみにそうだった場合、結局この闘技場は綺麗になくなるという事になる。ま、今回のお祭りに合わせて新設した物だし、亜空間にあるものだから、無くなっても影響はないのかもしれないけど。
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