第1295話 42枚目:変化対処
まぁ何というか予想通り、次の「ジャックポットボーナス」が吐き出された時にも段数の追加があった。筐体の大きさが大きくなるのも想定通りだ。今度出てきたのは、太鼓を叩いたりたくさん並んだボタンを押したりする系の音ゲーだった。
司令部は次の段が実際に踊る系の音ゲーで、その次は中に乗り込む系のゲームが来るんじゃないかと予想しているらしい。私にはそれ以上の大きさのゲームって想像がつかないのだが、司令部はまだ上があると思っているようだ。
そしてあのボーナス人形モンスターだが、あれの出現条件はゲームに投入したコインの数が一定数を越えたら、というもので確定したらしい。……まさか使った枚数とあの巨大人形から出てきた枚数を全部数えたのか?
「いや、確かに枚数の報告はしてますけどね……?」
「司令部はすごいですねぇ……」
初見殺しというか、普通に厄介なステージ追加という名の全方向無差別攻撃も、来ると分かっている上にタイミングを調整できるなら対処は出来る。何せ、防御が間に合いさえすれば被害は抑えられるというのは初回で分かってるからね。
そもそも全方向無差別攻撃になるのはコインの回収が間に合わないからだ。という事で、司令部は吐き出されるコインの滝を、魔法をフル活用して高速回収する方に舵を切ったらしい。風とか水とかで、特定方向に一気に押し流す感じで。
ちなみに磁石はダメらしい。どう見ても金属だから不思議なのだが、まぁ、イカサマ対策なのだろう。コインそのものを使ったゲームもあるから。
「まぁ今は純粋にひたすら面倒なんですけど」
「あの雛壇に並んでる筐体が、どれもこれも全部防水防塵仕様で良かったわー」
「それもイカサマ対策なんでしょうね。外からの防水防塵というか、景品を取る以外の影響を一切受け付けない感じですし」
「安心して大規模な魔法が使えるわね。多少攻撃力があってもびくともしないし」
流石に重量物が相手だし、割と繊細な魔力操作が必要って事で、ソフィーナさんがいるところ、つまり魔法使いが揃う後方ではあるが、私も参戦だ。コインを回収しきれなかった時の防御役も兼ねている。
なお多少攻撃力があっても大丈夫とソフィーナさんは言っているが、厳密には「筐体を直接狙った攻撃でなければ大丈夫」だ。そこは“偶然にして運命”の神が施した仕様なのか、直接攻撃が当たったらかなり強烈な反撃が飛んできたらしいから。
道を作るように魔法使いは2列に並び、その間を交換用のコインが文字通り川のように流れていく。しかしすごい光景だな。
「飛び込みたいっていう人がいそうですね。実際飛び込んだら押し潰されますけど」
「札束ならともかく、見るからに金属のコインに飛び込みたい人はいないんじゃないかしら」
まぁそれもそうか。きらきら豪華に輝いてるから、札束ならぬ金貨のお風呂に入りたい人がいそうだなと思ったんだけど。フリアド世界に紙のお金はないから、重量的にマシって意味だと宝石のお風呂になるんだろうか。
周りと協力しつつの神経を使う操作、と言っても、普段からみっちり制御系の訓練を積んでいる私からすれば、そんな関係ない雑談をする程度の余裕がある。努力は裏切らないなぁ。……とか言っている間に司令部からの防御指示が来た。
水の操作を一時中断して、魔力の壁を設置する。最初に比べれば雛壇に残っている枚数は少ないとはいえ、多少でも残っていたら十分に痛いからな。
「と、追加指示……運頼りのゲームへの挑戦を放棄ですか?」
「技術で何とかなるゲームに集中するみたいね。流石にあのラッキーシリーズも打ち止めになったんじゃない?」
「あぁ、なるほど。元々材料が限られてましたからね」
お星さまの砂にも限りがあったからな。ある分は全部アクセサリにしたとはいえ、使い捨てである以上限界は来るか。
まぁそういう指示が出せるのも、技術で何とかなるゲームで「ジャックポットボーナス」を取れるっていう前提ありきなんだろうけど……。
「音ゲーは技術で何とかなるゲームですからね」
「すごい人は腕や足がもう何本かあるんじゃないかと思うわ」
追加された筐体がそんな感じだからな。
しかし、フリアドのプレイ人口が多いとはいえ、よくまぁここまである種プロと言っていいような人がいたもんだ。
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