第1244話 41枚目:年末準備
ちょっと日付変更線はオーバーしたが、それでも何とか高難易度な空間異常は解決できた。ミラちゃんをクランハウスの島に連れて帰り、うちの子および部隊の人達と顔合わせをして、島を軽く案内してから私はログアウトだ。研究所の人達にはエルルが釘を刺しに行ってくれた。
で、土曜日である今年最後の日に突入した訳だが、今日はちょっと忙しい。というのも、年末年始の特殊ログイン時間、日付変更線前後1時間ずつの間は、ログイン出来ても空間異常には突入できないからだ。
一応バックストーリー的には、空間異常がある程度以上解消できたから、その辺を綺麗に整える為に神々が空間的に干渉する、という事らしいが……。
「なーんか引っかかるんですよね」
主に運営が今までにやらかしてきたあれこれのせいで。いくらかはゲテモノピエロのせいでもあるけど。
なので、まだ残っている通常の空間異常を皇女の権威と数の力でゴリ押し気味に解決しつつ、ボックス様を始めとした個人で建てた神殿に出来る限りの捧げものをしておいた。普段からやってはいるけど、一層気合を入れて。
「……まぁ、大人しくしてるならいいか」
一緒に動いてくれてるエルルからも許可が出た()ので、出番の時以外はせっせと捧げものを作り続けてたな。数の力が動いてる時は、大体領域スキルを展開して置物になってたし。もちろん攻略に必要なお香やお札も作ってはいたけど。
特殊ログイン時間があるので、午後はいつもより長めにログインして、今日の分のログイン時間を消化しておく。……去年は、特殊ログイン時間にログインする為、大半の
ともあれ、その辺はしっかりエルル達に頼んでいるし、司令部も動いている事だろう。イベントとは直接関係ないけど、イベントを円滑に進める為には必要な事だから。
「ん?」
そんな感じで捧げものをしていると、とある神様から何かが貰えた。あの【格納】への
見た目は“忘却にして平穏”の神の印が入った銀色のコインだ。数枚あるそれはキラキラと控えめに輝いているが、なんだこれ。
[アイテム:呪い忘れの銀貨
耐久度:100%
説明:“忘却にして平穏”の神から授けられた神器
耐久度の限り持ち主に向けられた呪詛・呪術の類を無効化する
また、他の神の加護を上乗せする事で効果を上げる事が出来る]
……。
…………。
えーっと、ちょっと待てよ。
「とりあえずボックス様に加護を上乗せして頂きましょう」
そこからカバーさんに相談だな。何かこう色々ツッコミどころはあるが、とりあえずまず一番必要なのはカバーさんと司令部所属の数人、具体的には例の襲撃を受けて倒された人達だろうし。
改めての確認だが、フリアドには呪い、「まじない」ではなく「のろい」と呼ばれるものが存在する。大体の場合は感情に魔力が反応して悪さをする感じのものなのだが、一応体系だった術になっているものもあるようだ。
もちろんそれに対抗する為の術も存在していて、それが「まじない」と呼ばれるらしい。感情が強くかかわっている為、通常の魔法だとちょっと対処できないんだそうだ。
神の加護なら効果はあるが、「のろい」の種類によってはその神の加護を逆に利用されることもあり、やはり「まじない」を扱える専門家か、神の中でも「のろい」に対応できる権能を持った神に対処してもらった方がいいらしい。
「で、その対応可能な権能を持った神の1柱が“忘却にして平穏”の神であった、と。何で零細扱いなんでしょう」
「普通は
「まぁそうですよね。自分の感情だとそれはそれで問題ですし、他から調達しようと思ったら邪神と同系列になりますし」
もちろん、このタイミングで“忘却にして平穏”の神が「のろい」への対策アイテムをくれたっていうのも問題なんだけどな。それってつまり、私及び関係者に「のろい」が向けられる可能性が高いって事だろ?
なおかつさっきエルルとの話で言ったように、「のろい」には感情が大きく関わる。その感情を他の誰かから調達しようと思ったら、まぁ、正直に言えば生贄案件なんだよな。
……逆に言えば、生贄を必要とする場合は、そこで発生した感情を使って術に出来るので、無駄が無くなる訳だ。
「素材を取られてますから、それを媒介にして
「そこから周りに被害が広がるのもよくある事らしいからな……」
つまりゲテモノピエロが仕掛けてくるって事だな。本当に碌な事をしない。
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