第1243話 41枚目:解決と情報
どうやら空間異常の解決条件は、ミラちゃん以外の吸血鬼の人達と“夜天にして闇主”の神が和解する事だったようだ。司令部の人達が頑張り、かなり制限時間ギリギリになってどうにか妥協点を見つける事が出来た。
……というか、神様は「あんなに酷い事をしたのだからもう信じられない。ミラちゃんは神としての眷属にして可愛がる」というし、吸血鬼の人達は人達で「忌子の起源は神に怒られると思ったからだ。今までの忌子としてしまった子達の分も丁重に扱いたい」といっているんだよな。
正直どっちもどっちだと思う。なので最終手段として「和解しなければミラちゃんはこっちで引き取る。二度と返さない」と、私が脅し、もとい第三の提案を出して、ようやく「ミラちゃんが成長するまで
「正直吸血鬼の人達の方は信用ならないんですけどね。神様は神様でやり過ぎる傾向があるとしか思えませんし」
『まぁ、種族全体が思っていたよりも幼い精神構造をしていたであるな。他と交流が無ければ、成長の機会もないという事であろうか』
私は神様に似たからじゃないかなと思っている。流石に口には出さないが。
さて何とか空間異常を解決する事は出来たが、どうやらイベント本編であるチェーンクエストはまだ続いているらしい。というのも、正気と落ち着きを取り戻した“夜天にして闇主”の神から、こんな話が聞けたのだ。
そもそもこの“夜天にして闇主”の神が加護している種族、霧化能力を持つ吸血鬼の集落に
その辺りを司令部が聞いてみたところ、やはり吸血鬼の眷属、及び眷属から吸血鬼になった誰か達の中には、その吸血衝動に呑まれてしまったり、能力を過信して驕ってしまう人がやっぱり一定数いるらしい。
もちろんそういう周りに危険しかもたらさない系の人は、大抵の場合元となった人が対処するのだが、相性なのか突然変異なのか、時々誰も手に負えない程強くなる人がいるらしい。
で。大体お察しの通り、そういう人達は“夜天にして闇主”の神が対処をする訳だが、ここまでの情報からするに、それほどまで衝動が強かったりする人は「新たな子」カウントとなる。つまり、神様からすれば全力で殺したくない訳だ。
とはいえ流石にその危険性と、放置していると正気を保っている吸血鬼の人達にも誹謗中傷が向けられるという事で、加護と祝福を剥奪した上でその能力の大半を封印し、眷属及び吸血鬼になる前の状態に戻す(ただし弱点は増えたまま)という対処をしていたとの事。
そしてその封印には“理知にして探求”の神の力を借りていて、解除条件は、その衝動を理性で完全に制御する事、及び、自分と同程度かそれ以上に他者を大切に思える事、に、設定してあったそうだ。
「そしてその封印が解けた可能性が高い。……最悪では?」
ちなみに、ここでようやく例の国のやらかしから世界規模スタンピートが世界中を覆うまでどれくらいかかったのか、割と具体的な数字が出てきた。やらかした国のある大陸を覆い尽くすまでに1ヵ月、大陸の間の海を渡るのに3ヵ月、この2つの大陸を覆い尽くすのに2ヵ月ほどかかったようだ。
つまり「モンスターの『王』」の影響が出始めてから、この大陸に居た神々が空間を閉じるという形で緊急避難するまでにかかった時間はおよそ6ヵ月前後。結構かかっているように思えるが、大規模避難を含めた対処を行おうと思えば、それでも大急ぎでギリギリだろう。
話を戻そう。とびっきりの危険存在が、加護と祝福を除いた能力を取り戻した可能性が高い、とはいえ、流石に神様も対処はしている。具体的には、そちらも可能な限り空間を閉じるという形で閉じ込めたのだそうだ。
「……作業量、謎解き、探索の高難易度と来て、今度は戦闘力という意味での高難易度ですかね……?」
つまりは、それが次の高難易度な空間異常、及び新しく解放される空間異常の内容って事だな。……イベントの攻略に必要な要素がそれぞれに高難易度として来てる感じか。後何があったっけ。
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