第1231話 41枚目:情報不足
どうやら
ただどうにも目がぐるぐるしてる感じだったので、椅子に座って右手にブラシを持ち、「ミラちゃーん」と呼んで左手で手招きしてみた。
「……っ! ……っ!!」
「はい、いらっしゃい。頑張りましたね。服も似合っていて可愛いですよ」
私が呼んだ事に気付いたからか、流石に周りの女性
まず抱きしめて背中をぽんぽんする事である程度落ち着いてもらい、震えがちょっと収まってきたところでブラシを持ち直して髪の毛を梳かしていく。ん? お風呂に入った筈なんだけど思ったよりぼさぼさだし絡まってるな?
髪も洗ってもらったとはいえだいぶ傷んでいるようなので、端から丁寧に梳かしていく。
「そしてしっかり梳かせてさらさらになった頃には寝落ち。可愛いですね」
相変わらず私のブラッシングはリラックス効果がすごいようだ。
まぁ寝落ちてしまったのなら仕方ないので、さっと用意されていたソファーへミラちゃんを抱えて運び、同じくさっと用意されていたクッションを枕とベッド代わりに寝かせる。すると、すっ、とブランケットが差し出され、ふわりとミラちゃんにかけられた。
今日も可愛い好き
「で、何も変化はありませんでしたか?」
「とりあえず今のところは何もないな。ちょっと拍子抜けするぐらいだ」
「うーん、絶対何かある感じだったんですが……ミラちゃん以外で」
「明らかに被害者だもんなぁ……」
ソファーの背中側からミラちゃんの頭をなでつつエルルに聞いたが、何も無かったらしい。いや、何も無くていいんだけど、本当に手掛かりらしい手掛かりが無いな。
今この地下空間にいる
もちろん全員宿光石を使った明かりは持ち込んでいるので、広いこの場所も随分と明るくなっている。と言っても床も壁も黒いので、天井は闇に沈んで見えないのだが。
「そういえば、誰か天井って確認しました?」
「召喚者が何人か、箒に乗って調べてたぞ。明かりを替えたりして隅から隅まで見てたが、何も無かったらしい」
「エルルは何か気付きませんでしたか?」
「下から見てたが、明かりで照らされても床とかと同じだったな。特に模様とかはなかったし、凹みや出っ張りなんかもなかったぞ」
なるほど、それなら天井には何も無いと思って良さそうだ。なおエルル曰く、壁の上部も同じように調べた
強いて言うなら天井と、壁の上半分には一切血だとしか考えられない汚れはついていなかったらしい。うーん、まぁ、そうか。この部屋の中で出血があったとして、あんな高いところまで飛沫が飛ぶってどんな勢いだ、って感じだもんな。
壁の下半分は汚れがついていた物の、そちらは下に行くほど濃いグラデーションのようになっているらしいので、大体間違っていないのだろう。
「それで床掃除になってる訳ですね。……で、何か出てきました?」
「何か発見があったらお嬢の方が先に分かると思うんだが」
「つまり何もないんですね」
いや、平和でいいんだけどさぁ……?
謎が全然解けないのも流石に困るんだが? 運営?
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