第1209話 41枚目:解決方針

 とりあえずそこから司令部の人達が確認したところ、行方不明者の人数はそこそこ止まりだった。それもダンジョンに挑んでいた召喚者プレイヤーに限られ、住民に被害は出ていないようだ。

 またその行方不明になった召喚者プレイヤー達は死に戻りした訳ではないらしい。空間異常の中にも外にも、目撃情報1つ無いそうだ。同じく連絡もつかないので、特殊な場所にいる事もほぼ確定している。

 で、問題はその行方不明になった召喚者プレイヤー達がいる(筈の)特殊な場所というのはどこだって事なんだが、どうやらこちらは現在捜索中らしい。行方不明者があまりに増えると何かが起こるかも知れないって事でダンジョン攻略は一時中断され、私も「知恵の輪スペシャル」に挑戦しながら待機中である。


「何が起こるか、本当に分かりませんからねぇ……」

「っすね……」


 という事でフライリーさんと一緒に「知恵の輪スペシャル」へ挑んでいたんだが、どうやら動きがあったらしい。司令部がざわついている。

 聞こえる範囲で聞いてみると、どうやら司令部メンバーの一部がログアウトして現実経由で情報を流してくれたらしい。まぁ通常時空だから、メールならやりとりできるからね。

 そして、出口のない場所に閉じ込められているのは確定のようだ。石造りの大部屋にいくつかの部屋が繋がった、という感じのその場所には、どうやら行方不明になっている召喚者プレイヤーが全員集められているらしい。


「……。まぁ、そこでパズルを解きまくる事になるのはいいんですが……」

「良くないっすけど、今までのパターン的に分かってたことっすもんね」


 大部屋に繋がっている先の部屋ではモンスターが出現し、そのモンスターを倒すとパズルが残る。それを大部屋に持って帰って解くと、壁に表示されているゲージのようなものが増えるんだそうだ。

 ゲージは複数本あって、恐らくこれを全部満タンにすれば出られるんだろう、と、その謎空間にいる召喚者プレイヤー達は頑張っているらしい。……の、だが。


「そのゲージの数がクリアして消滅したパズル式ダンジョンと同じで、なおかつ、その向かい側の壁に、攻略中のパズル式ダンジョンの進捗と同じ減り方で、同じ数のゲージがある、と」

「……それ、素直に考えたらいつまでも出られない奴っすよね?」

「いつまでも出られないやつでしょうね。それこそ、ダンジョンの材料になっている空間の歪みを使い切りでもしない限りは」

「無理ゲーって言わないっすかそれ」


 実質不可能だとは思う。使い切れるんならあちこちのイベントで扱いに苦労してないだろ。そもそもこんな便利アイテムを運営が切らす訳が無いだろうし。バックストーリー的にも、召喚者プレイヤーの絶対数が増え続けている以上減る訳が無いし。

 でもその出口のない謎空間に強制転移させられた召喚者プレイヤーを放置する訳にはいかない。だからと言って、パズル式ダンジョンを攻略しないという訳にもいかない。困ったな。

 動かせる場所が無くなったので何手か手順を戻しているところで、この高難易度空間異常用のスレッドに司令部からの書き込みがあった。どういう結論になったんだ?


「……なるほど。そもそも、このダンジョンと「閉じ込める」及び「強制する」という部分が「モンスターの『王』」の影響である可能性が高い、ときましたか」

「それなら捧げもので何とかなる筈で、その捧げものをガンガン捧げるにはダンジョンを攻略するのが一番手っ取り早い。謎空間でパズルを解くのが加速すれば、ダンジョンの数が増える可能性が高い。……いやまぁ、そりゃそうかも知れないっすけど」

「抵抗という形で出てくるモンスターも、ダンジョンの中に出現するなら街に被害は出ませんからね。この形のまま最後まで「モンスターの『王』」の影響を排除しきってほしい、という感じでしょうか」

「……まぁ、司令部の人達なら、計画している以上は人数が半分になっても大丈夫だと思うっすけど……」

「この調子なら、応援も来てくれるでしょうしね」


 という事になったようだ。となると、私も順当に忙しくなる感じだな。そろそろ時間も無いし、頑張って領域スキルをより広く展開してみるか。

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