第1183話 41枚目:認識修正
司令部の方でも方針の変更の必要を感じたらしく、まずはこの空間の広さを調べる方向になったようだ。オートマップは働くし共有できるからね。
一方、私には別の指示が出た。なんでも入り口部分の近くで強度を通常状態の中で可能な限り高めた【調律領域】を展開し、同じく可能な限りの再生系回復魔法、「モンスターの『王』」の影響を取り除く魔法を連打してほしいらしい。
それをやっても、これまでは砂に触れる端から水が砂に変わっていたのであまり意味は無かったんだが……どうやら入り口に当たる場所に建材で足場を作り、その上に凍らせて保存する、という方法を司令部はとるようだ。なるほど。メイドさん以外の冷人族の人もいなくはないし、普通に凍らせるだけなら魔法で出来るからか。
「それに加え、どのような形でも水をある程度の量保持しておく、というのは大事です。まだ現状では問題になっていませんが、触れるだけで水分を奪われる砂が出てきたという事は、空気中の水分も多少なりと奪われている筈ですので」
「そしてそれが
後は普通に暑いから、氷を集めて涼しい場所を作って休憩の効率を上げる、とかもありそうだな。もしこの砂がモンスターになるとかだったら、氷や水は特攻が入りそうだし。
せっせと氷を作って積み上げていると、途中から精霊さんも出てこれるようになったらしく、回復魔法の効果があるうちに水を空中へ持ち上げてくれるようになった。これで更に効率が上がったな。
ちなみに、氷であっても砂に触れると砂に変わってしまう……という事は無かった。氷なら大丈夫なようだ。が、ここの気温は高いので、さほど持たずにとけてしまう。そしてとければ砂に変わってしまう。
「だからさっさと数を用意して、屋根と壁のある場所に固めて保管する方が良い。……のはいいとして、何かどんどん建設の様子が大掛かりになってません?」
「この気温ですからね。それに空間異常内部で作ったり設置したりしたものは、通常空間に引き継がれます。そして入り口となる場所は大体の場合町の入り口か、そこから少し離れた場所になっているようです。今回の規模の街であれば、まず入り口から少し離れたところでしょう」
「後ほど邪魔になりません?」
「そこは交渉力の見せ場ですね。もっとも転移ポイントとして使えるのは
氷の保管庫とログアウトしている
まぁ、現在でも氷を置く場所はあればあるほどいいので、問題は、たぶんない。たぶん。恐らく。私は頑張って砂を水に戻していこう。うん。回復魔法も支援枠に入るのか、威力がぶっ飛んでるし。
そんな訳でせっせと砂を水に変えて、あるいは戻しているうちに、空間の広さを調べに行っていた
「ふむ。思ったよりこの空間は広かったようですね。残されていた資料に湖の大きさまでは書いていませんでしたが、しかし、神殿と周囲の街を含めてもいささか広すぎるような……」
そこには情報を統合した結果だろう、今は建設中の拠点(砦)以外に何もない地図が載せられていた。何もないから分かりにくいが、拠点(砦)と中央付近に掘った穴の大きさからすれば、確かにかなり広い。
広いって事は探索に時間がかかるって事だし、ギミックもたくさん仕掛けられるって事だからな。難易度が高いだけはある、という事か。……それを加えても、カバーさんの情報整理の為に出てきた言葉が恐ろしいけど。
広ければ広い程、全体的難易度は上がると言ってもいい。それはメインストーリーのステージである大陸の広さを見ても分かる事だ。つまり。
「なんというか……制限時間の伸び方に比べて、難易度の跳ね上がり方がすごい事になってそうですね?」
「その可能性もありますね。司令部も今後の予定をやや変更するようです」
まぁそうなるよな。そうなってない可能性もあってほしいが、フリアドだし。いずれにせよ解決が早いに越したことはないんだけど、うん。
だから明らかに難易度の高い空間異常であっても、割と全力、であって、本気ではないのだ。他にもやる事が多いからね、司令部は。
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