第1137話 39枚目:大陸の様子
結論から言うと、届かなかった。エルルすごい。
まぁ土地の力場的除染に出来るだけ地下深くまでの範囲が必要だって聞いたし、空も竜族の人達が飛んでるから、あんまり領域スキルを展開する形を変えられなかったのもあるんだけど。
私の領域スキルの範囲から出た事に気付いたエルルは、その時点で引き返してきた。そのまま南側に向かおうとしたみたいだが、それは司令部から戻ってきたカバーさんによりストップがかけられていたよ。そりゃそうだ。
「ところでエルルリージェさん、なんだかかつて見たことが無い程張り切っていたようですが何か腹の立つものでも見たんですか?」
「いや、そういうのは見て無いが。……お嬢の領域スキルで覆える範囲から戦場が無くなれば、素直に下がるかなと」
「それは流石に無理がありますよエルル。主に力業という意味で」
まさかの私を下がらせるためだった。まさかではないか。いつも通りだな。ある意味では。
しかし。と、すっかり視界が開けた状態で、改めて大陸の内陸方向に視線を向ける。これが元々だったのか、それとも“歪”めるという奴の力で変えられたせいなのか、その判断は私にはつかないんだが。
「それにしても……一面の砂漠、と来ましたか……」
乾燥地帯とは聞いてたよ。乾燥地帯とは聞いてたけどさ。砂漠までいくとは思わなかったんだよなぁ。
もちろん司令部がこの大陸に住んでいた人達から話を聞いた限り、砂漠なのは大陸の一部だ。他の場所は背の低い灌木ぐらいなら生えていたり、川が流れる周囲は草原だったり、場所によっては池や泉、沼といった地形もあるらしい。
もちろん私は素のステータスが高い上にちゃんと【環境耐性】を鍛えているので、環境ダメージ的な物を食らう事は無いだろう。が。
「目に見えて動きにくそうですね。足を取られるという意味で。雪とはまた違う感じで滑るでしょうし」
「気温差が激しいって聞いてるが、そっちは大丈夫なのか、お嬢」
「それはまぁ、北国の大陸と氷の大地で【環境耐性】をしっかり鍛えていますし。いくら寒暖差が激しいって言っても、氷の大地程冷える訳ではないでしょう」
当然、砂に隠れて奇襲してくるモンスターもわんさかいるだろうしな。まだこの大陸にダンジョンの概念は伝わっていない筈だが、流砂に呑まれた先でモンスターの巣に強制突入、ぐらいは現時点でも待っているかもしれない。
現実にある知識から考えられるだけでも十分厄介なのに、その上ファンタジー特有のあれこれも加わるからな。どっちにしろ、踏み込んでみて直接確認しないといけないんだけども。
「また
「あー……そうか。ここまでは地面がちゃんとしてる前提だったからか」
ルイシャンは関係ないんだけど、今まで
乾燥した気候って事は、水分をどう賄うかも問題だしな。たぶんこれ、大陸全体の傾向として水属性の精霊さんも少ないだろ。馬相当の生き物に乗る
もちろん魔法を使うより効率よく水を作れるアイテム、っていうのもあるにはあるだろうが、魔法で作ればいいじゃないが主体だったからなー。外付けで魔力を溜めておける装備の需要が更に爆上がりするか?
「どっちにしろ、地形的に消耗が激しくて補給が難しそうですね。拠点を作るのに適した地形もそう都合よく見つかるかどうか」
まぁ召喚者は最悪、死に戻り前提で奥に突っ込んで転移ポイントだけ設置、っていう荒業が使えるけど。一度設置してしまえば、そこから最低でも物資の貯蓄が出来る拠点を作ればいいんだし。
……拠点を作るなりどこからともなく現れたモンスターの群れが襲ってくる、とかいう可能性もあるんだけどな。ちゃんと防衛できるかどうかもやってみないと分からないか。
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