第1136話 39枚目:参戦
それでも流石に、攻撃が飛んでくる状態で最前線に放置……と言ってもニーアさんはじめ、ちゃんと護衛はついてくれるのだが……するのは吞んでくれなかったので、一か所にとどまっていても槍? が飛んでこなくなるまで戦闘域が広がるまで待ってからの参戦となった。
どうやらその間に、若干だが北に向かう方が抵抗が激しい、という事が分かっていたそうなので、ニーアさんと『巡礼者の集い』の人達に私の護衛を引き継いだ後、エルルは北に向かったようだ。
……なんかすっごい勢いで砦がバラバラに切り刻まれて残骸と化してるなぁ。
「エルルリージェさんは大変やる気のようですね! 遠目に見ても誰がやってるか分かるとは!」
「まぁ、片付けるのが早ければ早い程、私が危険な目に遭う確率は下がりますから……」
もしかして今まで私の護衛してたから、全力出せて無かった感じか? もしくは竜族の『勇者』って事で、対「モンスターの『王』」補正と全力でブーストした【王権領域】の補正が何か噛み合ったか?
まぁともかく、エルルの活躍がすごい事になってるのが現実だな。ゲームだけど。司令部が北側に、資材運び用の装備を集中させるぐらいには。キャリーケースみたいな移動式大容量アイテムボックスとかいつの間に誰が開発してたんだ。
「スムーズに撃退と救出が出来るのならば良い事ですね。エルルに何かボーナスを考えておきましょう」
「あっ、いいですね!」
領域スキルを展開してブーストする事による負荷は、若干調節しながらもレベル上げでしかない。後は私が気分的なしんどさを耐えればいいだけだ。それもエルルの活躍で全く問題ない。いやー、威圧感のある砦が見る間に残骸に変わっていく光景はすっきりするね!
雑談もしているが、油断してる訳ではない。私は動けないが、ニーアさんは会話しながらの周辺警戒もお手の物だからな。それ以前に、この場所まですり抜けてくるモンスターがそもそもいないんだけど。
海の方でもまだ戦闘は続いているんだが、すっかりメイン舞台がこの上陸した海岸線に移ってるからな。今も戦ってるのはたぶん、渡鯨族の人達を始めとした、今後の航路の安全を考えての事だろう。
「ちぃ姫さん。領域スキルの一部を、土地の修復の為にお借りしてもよろしいですか?」
「はい、構いませんよ」
「ありがとうございます」
「よろしいんですか?」
「その程度で揺れる出力ではありませんよ」
と、南側もだいぶ戦闘が遠くなった辺りで、『巡礼者の集い』の人達からそんな確認があった。ある程度安全が確保されたって判断なんだろう。問題はないのでさくっと許可を出す。
……ニーアさんに聞かれたが、自然回復と耐性スキルの経験値が美味しいから、ちょっとずつ注ぐリソースを増やしてるぐらいなんだよな。流石にエルルがいない現状、自然回復でまかなえる範囲にはしてるけど。
言われんでも、最前線への支援を途切れさせるようなことはしないさ。何せエルルが頑張ってるんだ。ここで揺れたりなんかしたら、何かあったのかと飛んで戻ってきかねない。
「それに一旦必要な力が増えたところで、土地の修復が進めば結果的に負荷は軽減されますからね。問題はありません」
「なるほど、それもそうですね!」
しかし、私の信仰はボックス様とティフォン様達に偏ってるぞ。大丈夫なんだろうか。
いや、大丈夫なのか。確かこういう関係で必要な神の力は、土着の神であれば良かった筈だから。まず“細き目の神々”の力で「モンスターの『王』」の力を追い払い、後で調節するとか、そんな感じなんだろう。たぶん。
……どっちかというと、戦場が広がる事で私の領域スキルをいくらブーストしても届かない距離まで行ってしまう事の方が問題だな、たぶん。普通なら大丈夫なんだけど、エルルの戦闘力だとちょっとこれ、届くかどうか自信なくなってきたぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます