第1131話 39枚目:変化結果

 だいぶ問答無用な感じだったが、とりあえず司令部はこのギミックが分かったところで仕切り直しする事にしたようだ。しばらくは退避した先でモンスターの群れと戦っていたが、全体に撤退指示が出た。

 そして問題の初見殺しを食らった召喚者プレイヤー達だが、どうやら「ボス戦」って事で物質系種族の人達は撤退済みだったらしい。それに加えて、左右のブロックに移動していればほぼノーダメージだったという報告があった。

 ……逆に言えば、その潰されたブロックないし跡地にいたらまず助からないって事なんだけど。なおこちらの情報ソースはそこそこ北の大穴の方に行っていた人たちだ。やはり潰されてしまったらしい。


「そちらにしても出が早すぎて、何が起こったか分からない内に死に戻っていたようですけど」


 強いて言うなら、若干の揺れがあったぐらい、らしい。実質前兆のない範囲即死攻撃か。なにそれこわい。

 幸いと言えるのは、発生条件がこれ以上なく確定している事だろう。要するに、最後の1ブロック(に相当するモンスター)を残せばいい訳だ。核となるモンスター以外の、部品に変えられた動物の救出や、中心部の機構以外の分解は普通にできていたんだし。

 まぁ、部品に変えられていたのは動物だけじゃなくてモンスターも含むんだけどね。それはその場で改めて倒せばいいだけの話だ。ちゃんと捕獲係を兼ねた護衛がいるし、そもそもフリアドの神官は弱くないから。戦闘力的な意味で。


「まぁでも、あの動きの通りに「全体の長さ」は縮んだようですけど。というか、そうやって数を減らすことでこう、両端からの進入路を切り開くのが正道である可能性までありますが」


 ちなみに正しくは両端ではなく、南端だ。北側の大陸でも同じことが起こるかどうかは分からないが、恐らくあちらは北端の防御が緩むのだろう。

 何故かと言えば、御使族が2つの大陸の間にいるからだ。精神的に干渉して取り込もうとしているのだから、そりゃ明らかにこの世界の戦力とは合流させられないだろう。

 たぶんこの2つの大陸は、それぞれ北と南からまず2つの大陸の間を目指すことになるんだろうな。1年かけていいのかそれとも半年で走り切らなきゃいけないのかは分からないが。


「…………ここまでの展開進行的に、2つの大陸を同時攻略するのですから、時間も倍かけられる状態であってほしいですね。個人的には」


 今までですら全く時間が足りなかったからな……主に難易度と移動距離的な意味で……。いや移動距離というか移動手段は大幅な改善が見られたけども。主にあのアップデートで。

 あれももしかしたら、本来は神の力による防御を使うべきだったところをテコ入れせざるを得なかったのかもしれないが、使えるものは使わせてもらうって事で。それにベテラン勢は防御アイテムをあっさり入手したが、召喚者プレイヤーの信仰心が上がるには色々実感が必要だから。主に苦戦する方向の。


「という事で……エルルー」

「何だ、お嬢」

「次は近い場所でいくつも大穴を開けて、同時並行で相手の数を減らしつつ探索及び救助して、あの攻撃を誘発して大幅に長さが短くなった場合を調べるそうです」

「……なるほど。確か端が動いたんだったか」

「そしてそんな大技があるというのが判明した以上、召喚者プレイヤーだけでは火力が足りません。よって竜族の皆さんにも積極的に火力を叩き込んで大穴を開けてもらう必要があるので、皆さんに伝えておいてください」

「火力。……あぁ、あれか。ブレスの集中砲火」


 あれだ。なおエルルは引き続き私の護衛という名の槍を避ける係である。エルルは避け切っていたが、遥か後方に落ちたあの巨大な槍? は司令部が回収していたようで、「これはダメだ」という結論に達したらしい。

 まぁそうだな。引き剥がせる火力は引き剥がしておくべきだ。間違いなく「モンスターの『王』」の力がたっぷり込められているだろうから、再利用できず捧げものにするしかないだろうし。

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