第1099話 38枚目:ようやく発見
という事で、大人しく領域スキルを展開しながら生産作業をして平日は過ぎ去った。なので私にわかる変化は、激しい戦闘は続いているし緩まる気配が無いから、これは絶対数がどうというより、たぶんどこかで湧いてるか補充されてる、という発表が司令部からあったぐらいだろうか。
つまり大陸に辿り着く為の仕掛けを見破らなきゃどうにもならないって事なんだが、そっちの進捗はどうかというと。
「なんとか残っていた地図を突き合せて確認する限り、大陸周辺の島の数が足りない。しかし島がある筈の距離までは近づけるし、見えている島はそのままなので、島ごと隠されている可能性が高い。というか、その島に仕掛けがある見込み、と。……そう来ましたか」
これ、地図が残ってないか、地図を貸してもらえるほどの好感度と信用を積み上げ損ねたら無理ゲーだったのでは? とちょっと思ったが、いつもの運営だしそんなもんだろう。難易度が高いだけだ。だけではないが。
で、竜族と
「まぁ、ギリギリ間に合ってないって時点で難易度が高いんですけどね」
なので現在、イベント2回目の土曜日午前中だ。まだ仕掛けがあるだろう島の発見報告はない。それでもクランメンバー専用掲示板に乗せられたオートマップのコピーを見るに、だいぶ絞り込まれてはいるようだ。
島が見つかれば私にも出動がかかるだろうし、出動がかかったところでこの拠点を放棄する訳じゃない。ならまぁ、防衛戦を何とかする為という意味も込めて、頑張って消耗品の生産作業を続けるとしよう。他にやれることも無いし。
で。
「かなりギリギリでしたね」
『そうか?』
「えぇ。
『あぁ、そっちか。それは確かにな』
なんか明らかに様子のおかしい島が見つかった、という一報が来たのは、土曜日の夜のログインが2時間ほど経過した頃だった。危ない。割と本気で間に合うかひやひやしたぞ。
もちろん時間が無いって事で私も「皇竜の御旗」をもって即出撃だ。なお様子は怪しいが、事前に『巡礼者の集い』の人達が調べて邪神の気配が無い事は確認済みである。
流石にいきなり刺激するのはどうかって事で、移動中は「皇竜の御旗」を掲げていない。ただまとまった人数が移動する都合上、領域スキルは普通の範囲で最大展開しているけど。
「そして、問題の島というのが……見えないんですが」
『確信を持ってまっすぐ近づかないと見えないらしいからな。そろそろ先頭が到着する頃の筈だ』
「発見の難易度が高いんですよね。見つけたのが
正しくは、
なんて思っている間に、どうやらその島を発見した
大きさ自体はさほどでもない。たぶん、私がクランハウスとしてもらった島の、元の大きさより1周り大きいぐらいだろう。高さもそうはない。平原の中にでもあれば、ちょっとした丘と呼べるくらいじゃないだろうか。
「……これは確かに、明らかに様子がおかしいですね」
『そうだな。というか、どうなってんだ……?』
なの、だが。
問題はその形が、こう、何というか……すっごい、トゲトゲしているんだ。えーと、そうだな。……ホイップクリームを泡立てて、泡立ち具合を確認するのにツノを立ててみた時。あんな感じのトゲトゲが、島中にびっしり立っている。
先頭に立って近づいていた
「しかしまぁ、全力で近寄るなという感じですね……」
『あれだけモンスターがいれば、多少はぶつかったりして仕掛けが壊れてそうなものだったが、これなら間違いなく傷1つつかないか』
なお、トゲトゲの根元は木が生えていたりしてとても見え辛いが、なんかそこも普通に平らな感じではないようだ。流石にこの島そのものがモンスター化している……という事なら『巡礼者の集い』の人達も気付くだろうし、そうではない筈だが。
「ま、ようやく見つけた手掛かりです。上陸して探索するのは決定事項ですけど……どこからどう取りついたものやら」
そんな感じなので、上陸さえしてしまえば、少なくとも海からの攻撃は気にしなくていいだろう。実際、周囲で今も行われている激しい戦闘も、島の周囲では起こっていないし。
見た感じあのトゲトゲは、ここまでの島と同じ岩で出来ているようだ。だから、島があぁいう形になっているんだろうが……外から吹っ飛ばして何かが暴走しても面倒だし、どうしたものか。
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