第1027話 37枚目:色々発見
「なぁお嬢」
「なんでしょうエルル」
「これは本当に大丈夫なんだよな? いや、やっておいてなんだが。本当に今更なんだが」
「丸ごと敵なので大丈夫だと思いますよ。……たぶん」
「お嬢? 今たぶんって言わなかったか?」
何の話かというと、近くにいた
そしたらどうなったかって? さっきの会話を参照。実に見事な直線の、超深い谷が刻まれた。
今私がいたのは「拉ぎ停める異界の塞王」のイベントダンジョンだったんだが、周りが遠近感が死ぬほど白いからその深さが際立って見える。だ、大丈夫だよ、大丈夫。少なくとも見える範囲には何もないから。
「これもう戦略兵器とかそんなんだろ」
「むしろ撃っちゃいかん奴」
「抑止力で納得しかないわぁ」
「子守りドラゴンもMAP兵器だった件」
「誰が子守りだ」
私は【成体】になったが、それはそれとしてエルルの通り名もそのままのようだ。あと今エルルの事をMAP兵器って呼んだ人、さては私の事をMAP兵器って呼び出したのはあなたか?
まぁ何でそんな事になったかというと、それはもちろん瞬間最大火力を競う流れになってたからだな。そして私に話が振られ、私がエルルに振ったのだ。あとはその場のノリ。
いやしかし、ここまで目に見えて大火力だと楽しいな。元々地形が直るのは遅いけど、見るからに痛打が入ったって感じで。
「はい。付近の皆様に通達です。司令部からこちらのイベントダンジョン全域においてモンスターが大量発生したとの事。防衛への協力要請が来ましたので、ご参加下さい」
「知ってた」
「デスヨネー」
「カウンターが無い訳ないんだよな」
「おい待て、それを知ってて撃たせたのか」
「何も無い訳がありませんからねぇ」
「お嬢もか」
たぶん削った余波的なものがモンスターになったんだろうな。その場のノリだったとはいえ、後始末までがお仕事だ。頑張ろうか。
どうやらあの一撃は相当効いたらしく、転移地点に選べる中継拠点が1つ増えていたんだそうだ。なので今度は防衛戦の準備を整えた上で「蝕み毒する異界の喰王」のイベントダンジョンに行って、エルルにもう一度特大の一撃を叩き込んでもらった。
若干、これはもう
タイミング的になんか運営の悲鳴が聞こえたような気がしないでもないが、何かが見つかったんなら大人しくそれを目標に探索しよう。
「そして相変わらずお嬢が先陣を切るんだな……」
「各種耐性と儀式的対抗手段があるって事で、私が一番確実ですからね」
そして多分司令部的には、エルルが必ずついていくっていうのも入ってると思う。言わないけど。エルルが「じゃあ俺が動けばお嬢は後方にいるんだな」とか言って単独行動しそうだから言わないけど。
転移地点に選べる中継拠点が増えただけあって、随分と全域にかかるデバフは緩くなっているようだ。迷路部分なら、ほとんど対策なしでも動くだけなら割と広い範囲が動けるらしい。
まぁ探索は終わってるから、動き回ってもモンスターの数を減らせるぐらいなんだけど。そのモンスターの出現頻度もだいぶ下がっているから、乗馬系のスキルを育てる為に走り回っている
「団体行動の練習にも良いらしいですからね、あの前半部分」
「……まぁ確かに、あそこまで地面がしっかりしていて広くてまっすぐな場所って、試練以外だとまずないからな」
あったとしても竜都の大通りぐらいじゃないかな。フリアドにおいて道と言えば土を踏み固めたものが主流だし。主に技術というか文明の断絶と退化のせいで。
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