第1021話 37枚目:ギミック解除
大人数の時間を短期間で合わせるという事で、もともと
そしてそこからお昼休みを挟んでもう一度揃ってログインする予定になっていた。つまり、頑張れば夜にもう一回儀式が出来る予定だったって事だな。流石に全員そろって、という訳にはいかないかもしれないが。
ただ、そうやって予定を取っているから、といって手を抜くような
「まぁ、途中で更に加速がかかるように、ブーストもしましたしね……」
『順調に言って何よりである』
と、いう事で。いけばいいなーと思っていた探索率100%……には届かなかったものの、パズルを解くのには十分な範囲が探索できた。いやぁまさか、端が繋がってるループ構造だとは思わなかったよね。
とりあえず司令部というか検証班の人達がパズルを解きにかかるって事で、私も含めた大半の
で、お昼ご飯を食べて時間を合わせて再ログイン。検証班の人達、本気で頭がいいからな。パネルの数が多いと言っても手が決まっているパズルだ。たぶんこっちの準備をするぐらいの余裕があるんじゃないかな。
「そして実際ログインしてみると準備万端、と。まぁ予定は前倒しするに限りますが」
『士気も十分に高いであるからな。まぁそれ以上に、次が出現してさらに巨大になっては対処できるかどうか怪しい、という予測もあるであろうが』
「あぁ、それは確かに」
という事で、しっかり準備をして、10個目の中継拠点候補地前に集合だ。「第一候補」は5個目の中継拠点で留守番で、私とエルルがこちら、病気の方のイベントダンジョンの先頭に立つ。もう1つのイベントダンジョンでは「第二候補」が先頭に立っている筈だ。
「で、なんでお嬢がここにいるんだ」
「単純な防御では防げない類の範囲攻撃をしてくる可能性がありますから、相殺とフォローの為ですね」
なのでちゃんと衣装というか装備も新調している。ドレスベースの鎧だな。ようやく胸当てぐらいなら作れるサイズの武器に向いていない竜合金が溜まったから。……普通はもうちょっと早いんだそうだが、私は自分の鱗が超優秀だから……。
性能的にも防御と儀式補助重視だ。肝心の武器は、細身の剣の方向でいくつもりだが、どこまで細くするかは手探り中だな。
もちろんルイシャンに乗せてもらっているので、機動力もばっちりである。いつでも逃げられるよ? 逃げる気はないけど。
「……そんな事だろうとは思ったが、せめて自分から攻撃を受けにはいくなよ」
「生身で攻撃を受けに行くわけがないですよ。痛いのは嫌ですし」
身代わり系のアビリティを使わないとは言っていないけど。もちろん伝わったらしく、エルルからのもの言いたげな視線をもらってしまった。仕方ないじゃないか。どう頑張っても耐性関係は私が一番高いんだから。
そうこうしている間に、検証班がパズルを解き終わったらしい。ばたばたと前線から人がどいていく。代わりに周りの
私もメインに耐性スキルが全て入っている事を確認し、【調律領域】と【王権領域】をいつでも最大展開できるように備える。その目の前で、人がどいて見えるようになったパズルからパネルの境目となっていた線が消え、綺麗な1枚板へと変わった。
「……ん?」
どうやらパズルの完成形は、こちらの辺の真ん中から、あちらの辺の真ん中へ、ほぼ全面をぐねぐねと曲がりくねった線で埋めつつ繋がる、というものだったらしい。どちらがスタートでどちらがゴールかは分からないが、黒い石に白い線で描かれたラインは、綺麗につながっている。
の、だが。何故か、向こう側の辺の真ん中から水が流れるように、白いラインがふちを残して黒く染まっていっている。もしかして、これで線が最後まで染まったら壁が消えるんだろうか、とも思ったが、何か違和感だな。
「うわっ!?」
「なっ、嘘だろ、祝福がもう割れたぞ!?」
「マジかっ!? 割れた奴は下がれ! そんで司令部に連絡!」
内心首を傾げながらその変化を見守っていると、後ろの方でそんな騒ぎが聞こえた。割れる、とは、状態異常を受けきって効果が切れる事を指す。例の鱗に倣った形だな。
しかし突入は分かっていた筈で、ちゃんと祝福を更新してからここに並んでいる筈だ。と、いう事は。
「まさかあのライン、そういう事ですかっ!?」
「お嬢!?」
ルイシャンの腹をけって前に出てもらい、既にラインの3分の2ほどが黒く染まった一枚板の前に降りる。そしてこちら側の辺にあるラインの根元に手を当てて、自分に出来る最高出力で魔力を流し込んだ。
途端、白い線が、自ら光を放つような銀色へと染まっていった。黒く染まる速さの倍ほど速く、白い線が染まっていく。
そしてラインの途中でぶつかったところで、魔力を流し込む感覚に強い抵抗が生まれる。だから、ギミックが盛沢山すぎるんだよ運営!!
「ここでも綱引きが必要とか聞いていないのですが!」
「それは分かったが、お嬢もいったん下がれ!」
そして拮抗状態になる、いや、恐らくラインの全体に魔力が満たされる事が、見えない壁の解除条件だったのだろう。ずず、と空間の揺れを伴いながら、見えない壁が上から光の粒となって消え始めていた。
流石に更にデバフが強化された状態ではかなり厳しい。確かにこれは、後方の中継拠点に戻るべきだな、と思って……
「……何か手が張り付いたみたいに剥がれないんですが」
「は!?」
……まさかの、魔力的綱引き、いや押し合い中は逃げられない仕様だった。
マジか。
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