第815話 24枚目:ポイント発見

 引き返すのにも時間がかかるが、道順も分かっているしモンスターは倒してある。罠も解除してあるか発動した後なので半分以下の時間で戻る事が出来た。一応警戒はしていたが、やっぱりモンスターの再出現までは結構長く設定されているようだ。

 まぁそうでなければ大人数の召喚者プレイヤーが進捗を共有するのは難しいだろうけど。もしくは召喚者プレイヤーは探索に集中して、住民の仲間にお願いするのが本来の筋書なのかもしれないけど。

 ともあれ、カバーさんにお願いしてダンジョンの情報を共有して貰ったら、後は他の召喚者プレイヤーの人達にお任せだ。


「私は引き続き、大陸北側の探索ですね。頑張って走りこむとしましょう」

「しかし、本当にモンスターが増えたな。どこから湧いてきたんだ」

「文字通り湧いてるんじゃないですか? 今も降り続いている雪はあっち側のものですし」

「……なるほど」


 捜索目標である実際のダンジョンに潜ってみる事で、神からの加護や祝福が反応する、という感覚も多少は分かった。せっかくステータスの暴力なのだから、しっかり気を張って探索すれば、少なくとも一般召喚者プレイヤーよりは一度に広い範囲を調べられる筈だからね。




 土日であってもログインは2回に押さえている。もちろんテスト勉強をする為だ。何せ直前の土日なので。今週の平日一杯はほぼ生存確認状態になるだろう。

 なので日曜日の午前中も目一杯大陸北側を走り回り、ちょくちょく祈りを捧げ、イベントページから見れる地図を埋めていった。……若干大陸南側が埋まっていくペースに対抗する気もあったけど。

 で、そんな私が日曜日の夜のログインに、どこにいるかと言えば。


「……で、どうですか、「第一候補」」

『……うーむ……』


 ポリアフ様の神殿に居た「第一候補」に声をかけて同行してもらい、いつものカーリャさんとエルルという護衛コンビと一緒に、北国の大陸北側に穿たれた、特大のクレーターの中心部にいた。そう、あの液体火薬のブロックが盛大に爆発した、あの場所だ。

 いや、私も無いとは思ったんだよ? ここは無いと思ったんだけど、祈りで更新される地図の「怪しい度合い」の分布を見る限り、どうもこのクレーターの中心部に「何か」あるとしか思えなくてね?

 しかも実際近寄ってみたら、例のダンジョンと似たような感覚があるし。かと言ってその場で祈りを捧げてみても何も起こらないから、どういう事だとしばらく考えた末、「第一候補」に確認してもらう事にしたのだ。


『確かに、何か違和感があるであるな。具体的に何と言われると、それはそれで困るのであるが』

「って事は、当たりですか……」

『で、あるな。しかし、よりにもよって此処であるか……』


 で、結果がこれだ。マジか。いや、そうとしか考えられなかったからダメ押しで「第一候補」を連れて来たんだけどさ。

 しかしそうなると、祈っても変化がなかった事が違和感だ。……が。場所がここで間違いないというのであれば、ある意味逆説的にその違和感は説明できる。


「反動が大きそうですね。何とは言いませんが。このクレーター、深さがどのくらいでしたっけ?」

『3m強、と言ったところであるな。現状から考えるに、隠された何かを暴くには少々足りぬズレだ』

「偶然か狙い通りか、それが問題です」

『……流石に偶然だと思いたいところであるが、我としては、むしろあちらがこの地形に合わせたという可能性がある故、大変頭が痛い』

「それもありなんですね……」

『間違いなく目立つ場所であろう?』

「それはそうなんですけど」


 っていう、事だ。マジかぁ……なんだよな。こんなところにあるとは思わないじゃないか。流石に偶然だと思いたい。少なくとも、先月イベント時点では、この場所は特に何もなかった筈なんだから。というか、何かあったら防衛陣地から外れている。

 ……いや、まぁ、確かに、これだけ特大のクレーターがあったら、少なくともこの上に砦を作ったり罠を仕掛けたりする事は無いけどさ。だからって、よりもよって、ここかよ、っていうね?

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