第777話 23枚目:対策提案
こちらから連絡を取ってみた所、どうやら大陸の北側で何かもめごとが起こったらしく、そちらの対処が優先されていたようだ。このタイミングで
とりあえず今日の私の動きを簡単に伝えた後、「特定の範囲だけに効果のあるスキルか魔法」について聞いてみる。どうやらカバーさん、エルルとサーニャに【○○古代魔法】の
もちろんその質問の元になった弓使い
『なるほど、上を通るだけでダメージが入る床ですか。今の所空を飛んで移動するモンスターは確認されていませんし、設置できれば非常に有効なのは確かですね』
どうやらこれだけ動いていても、カバーさんにはダメージ床という単語では伝わらなかった。とは言え頭の回転が速いどころではない人なので、ちょっと説明したらすぐ理解してくれたけど。時々なんか妙な知識の偏りがあるんだよな。
それはさておき、ふむふむとしばらく考えていたカバーさんだが、そこからいくつか、主にお札の仕様について質問された。一部はやった事が無いので素直にそう答える。というか、そんな使い方する事なかったしな?
で、カバーさんの方から氷の大地の司令部に話が回ったらしく、検証のお時間だ。そうなると思ったよ。
「成功して何よりです。しかし別所の【符術】では失敗したという事は、上位スキルにならなければ出来ない工夫だと言う可能性もありますか」
「いやぁ、【札術】のレベルを上げておいて良かったですよね……」
え、何をしたかって?
えーとだな。まずお札の仕様と言う名の前提条件を説明すると、お札にはざっくり2種類の発動タイプがある。
まず1つは、投げつけたり張り付けたり、消費アイテムとして使うタイプ。張り付けた場所で発動したり、投げる途中で魔法の形になったりするやつだな。大体は発動した瞬間にお札が消費される。
もう1つは、額に入れたり建物に張ったり、つまり設置して使うタイプ。以前うっかり作ってしまった超高性能のお札で作った、土壌改良系のお札がこっち。効果は大体の場合地味なんだが、大体内部時間で1週間から1ヶ月は効果が続く。
そして今回やってみたのは、設置して使うタイプのお札の作り方で、消費アイテムとして使うタイプになる魔法を込めたお札を作ったらどうなるかって事だ。無理そうなら別の方法を考えると言われたが、出来てしまった。
もっとも他にもお札を作れる人はいて、そちらにも話は言っていたらしいが、そちらは成功しなかったらしい。いやぁ、成功して良かったよね。割とぶっつけ本番だったけど。
でまぁ、具体的に、何の魔法を込めたかって言うとだな。
「なるほど確かに。相手は重量物なんですから、その移動にもそれなりの威力がある筈ですよね。その何割かでも跳ね返れば、通るだけで積み込まれるダメージとしては十分、と」
「実際に使って見なければ効果のほどは分かりませんが、問題が無ければ火属性等の火力の高い属性を付与したお札で作ってもいいかも知れません」
オートカウンターと言うか、攻撃を受けたらその何割かが攻撃者に跳ね返るっていう防御
ちなみにお札に属性を付与する場合、込められる魔法の属性が限定される。が、この魔法は無属性なので、どんな属性でも問題無い。そういう意味でもこのカウンター魔法だったんだろう。
地面に設置してもちゃんと効果は発動したから、あとは効果時間とか実際のダメージ量とかの確認だな。……もちろん魔法の仕様として、跳ね返す事が出来るダメージには上限があるというか、一定値を超える威力だと跳ね返せなくなるんだが、その限界の確認もある。
「まぁ私が作った分に関しては、それこそあの一番最後に控えている特大ぐらいにならないと破られないとは思いますけど」
「そうですね。それも含めて検証です」
さーて、それじゃ生産作業に戻るとするか。
……うん。割と今回自重してるよな、私。だいぶいい子だぞ? 珍しい事に。
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