第610話 22枚目:イベントのお知らせ
時間加速のタイミングとしては、土日の昼間と夜、そして水曜日の夜。それぞれが2回ずつで、合計10回の参加チャンスがあるらしい。これは
どうやら1回ずつの時間加速は独立していて、前回の状況が引き継がれるとかは無いようだ。そしていつもの競争要素としては、1回の「最高スコア」で競うらしい。もちろん参加回数が多ければ慣れる事は出来るが、それでも勝負は可能だろう。
それに内部での制限を緩めるイベントアイテムの回収は、事前準備に入るからか通常空間で可能だ。そのアイテムをどこのタイミングでどれだけつぎ込むか、っていうのも戦略となる。さて、この辺りでバックストーリーを確認してみよう。
北の果てに存在し、冷人族を捕えていた強大な存在。その討伐の知らせに、神々は大きな快哉と祝杯を挙げた。冷人族から欠ける者がいなかった事も、その喜びを後押しする要因だっただろう。
だが、何も問題が残っていない訳では無かった。北の果てとは、それだけで十分に特別な場所だ。そこに異界の存在が居座っていた事で歪みが生じ、放置しておけば際限なく空間の歪みを吸い込み、計り知れない程の深度を持つ亜空間となる危険があった。
冷人族や氷の精霊による対処を行おうにも、まずは現状で既に相当な量のある空間の歪みを消費しなければどうにもならない。神々はどうするべきかと話し合い、相談し、召喚者に託宣を下すのだった――。
その原因となる歪みの影響で召喚者の能力には制限がかかるし、それでもその状態で空間の歪みを消費しなきゃいけない。だから、亜空間を何度か作成して一気に減らす、という形になるんだろう。たぶん。
さて問題はその制限がどんなもんかという話だが、恐らくこの辺はサバイバルという形、及び新人と熟練者の差を少しでも埋めるように、という配慮なのだろう。持ち込めるアイテムと、スキルの数に制限がつくらしい。
……そう。スキルだ。スキルが制限されるとどうなるか? それは当然、種族レベルも下がるって事だ。
「一応救済措置として、進化状態は戻らず、【人化】を持ち込めば今の姿で動く事は可能なようですが……」
もちろんスキルの数に制限がつくと言ったって、育てたスキルが剥奪される訳じゃない。というか、スキルの数制限が初期状態では10個って時点で、私は種族スキルだけで足が出る。
通常空間で事前に手に入れられるイベントアイテムによって、持ち込めるスキル……と言うより、内部でも通常通り発動するスキル、と言った方が正しいか。その数は、最大で5個まで増やせる。そして内部を探索する事で、スキルの数を増やせるアイテムを手に入れられる、とある。
事前に15個まで開放しておくのは当然として、その後内部を探索し、どの順番でスキルを増やしていくか、というのが攻略とハイスコアを稼ぐ鍵になるだろう。何せスキルを増やせば、その分だけ一気に種族レベルが上がるんだから。
「と言っても、増やしたところで種族スキルがありますし、【人化】と言語スキルに【鑑定☆☆】は外せませんから、実質動かせないんですよね」
「先輩、どんだけ種族スキルあるんすか?」
「いっぱいです」
その言語スキルも【共通言語】と【魔物言語】のどっちを入れたものか。どっちかしか入らないんだよね。言語関係を統合する方法ないかな。無いか。仕方ない。内部探索を頑張ろう。
後で入れる追加スキルの優先順位はまた別で考えるとして、次の制限であるアイテムだが、こちらも初期では20個までだ。1個当たりの重量制限も付いているので、大きなカバンにたくさんの物を詰め込んで1個にする、という手は使えない。
だがここでポイントなのは、装備品は別枠って事だ。つまり、ポケットが一杯ついた服とマントを作ってそこに物を詰め込んでおくのはオッケーって事になる。ルディルのスタイルだな。
「だから私の場合、装備一式は問題なく持ち込めるんですよね。ハンマー含めて」
「なるほど。……何か、さっそく役に立つ気配がするっすね、あのかき氷機」
ははは。……食べられる物を増やすスキルが封じられる以上、食べられる物の確保は最優先事項だからな。もちろんかき氷機は持ち込むよ。流石レイドボス報酬、次のイベントで大活躍するとは。
まぁ普段からそこまでアイテムには頼っていないので、ルディルの回復薬セットとテント関係、後は色々な便利道具と、ソフィーナさんのお弁当ぐらいだろうか。こっちは上限を増やさなくても何とかなりそうな気がする。
だが私にとっての問題はそこじゃない。いや、スキルも大概問題だけど、それ以前に、だな。
「……【絆】スキルが確実に内部に入ってからの解放になる上、解放した所で別の制限がついてるんですよ」
「あれ、そうなんすか? テイマーの人や指揮者さんみたいな人が厳しくないっすか?」
「厳しいでしょうし、私の場合は個人的に大ダメージな事がありまして……」
まぁ頭数って言うのは力だからな。特にサバイバルってなると。だから、制限を掛けるのは分かるんだが……。
イベントのお知らせに書かれている内容によれば、スキルの上限を上げるアイテムとは別に、通常空間にあるアイテムを召喚する事が出来るアイテムがあるんだそうだ。
予備武器や持ち込めなかった道具を手に入れる事が可能だが、【絆】と【契約】を持っている
「……自分より、累計種族レベルの低い相手しか呼び出せないんです」
「え、そうなんすか? ……あれ!? エルルさんとサーニャさんがアウトっすよねそれ!?」
「完全にアウトですねぇ……」
せめてステータスであれば、スキルを全開放すれば補正もあってワンチャンあったかもしれないが、流石に種族レベルはまだ追い付いていない。サバイバルとか絶対エルルが大活躍だっただろうに……!
まぁ、だから制限を掛けたんだよ、と言われても反論しようがないのだが。確かに、としか言いようがない。ちなみに、最初に【絆】を持ち込んでも一緒に挑戦する事は出来ないので、呼び出しアイテムは必須だ。
もちろんルシル達使徒生まれ組は問題なく呼び出せるし、多分ルージュ達コトニワ組も大丈夫だろう。だが、保護者であるあの2人は無理だ。何せ保護者なので。
「うっわー……納得っすけど、荒れそうっすねー……」
「ははは。今から頭が痛いです。主にどう説明するかって意味で」
だが、説明しないと本当に後が怖いからなー…………。カバーさんに相談しよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます