第580話 21枚目:ギミック探し
その後、テイムした雪像達の作った特殊な雪玉を使ってみたら、砦と同じ仕様……凍り付く分だけがごっそりと消滅。雪玉を頭上の雪雲に投げて落ちて来た氷塊は通常の氷と同じ扱い、つまりは回復する事が分かった。
あとは司令部の指示で私が場所を限定して氷に変えてみると、手足なら氷の丈夫さを生かして暴れ、胴体なら庇う動きを見せ、頭だとどうやら盲目状態になるらしい。
ちなみに
「氷に変えるなら、頭と胴体ですね。雪雲に雪玉を使った時の仕様が、あの雪の城と違ったのは引っ掛かりますが……」
胴体を氷に変えると、取り込まれた
まぁ実際の動きとしては「第四候補」が作った砦の上から、水属性魔法を時々撃ってるだけなんだけど。エルルとサーニャは取りこまれた
土曜日の夜って事で、
「だから、手数としてはこれ以上ない訳ですよね。現に、雪像自体は何度も削り切れてますし」
そう呟いたその目の前で、その巨大な身体の4割ほどを削り取られた雪像が、低い音の咆哮を上げた。ごう、と大量の雪を含んだ風が舞い上がり、雪像を取り囲んでしばらく渦巻いて……視界が晴れた時には、万全の状態に戻っている。
さっきからこの繰り返しなのだ。体力バーは全部削り切れているのに、目で見えるダメージは4割程度というのも違和感だし。納得の「強力な再生力」である。
あ、ちなみに全身を氷に変えてから一気に砕く、っていうのももうやったし、それでも核みたいなものは見つからず、何の変化も無く全く同じ姿に再生したよ。……いやまぁ、削れてない訳じゃない、んだろうけど……。
「もうちょっとこう、何と言うか……痛打を入れられる方法がありそうというか、現状これは文字通り削りダメージという感じがするというか……」
うーん。と考えてみるが、答えらしい答えは浮かばない。まぁその辺司令部もギミックを探しているだろう。あの人達の頭の良さは別次元だからな。私では気付かない違和感に気付いているかもしれない。
ちなみにあの急速再生を行っているらしい渦巻く雪の風だが、あれに触れると問答無用で氷漬けになる。水魔法を叩き込んでも即座に雪に変わるだけで、雪玉を投げ込んでみてもすぐに補充されるという無敵っぷりだ。
……それこそエルルとサーニャによる、雪の城に仕掛けていた爆撃のような量を用意できるんなら多少は違うかも知れないが……どちらにせよ結果が同じなら、雪像が再生してからの方が狙いやすいしなぁ。
「雪も再び降って来てますし、そうなるとやっぱり、雪雲を削ると雪像の回復になる、というのが違和感なんですよね。……雪雲が削れるものだ、というのも確定した情報ではありませんが」
いつものパターンだと、攻略の為の手札が足りていないか、ギミックを解き切れていないか、鍵となる何かが無いかだ。どれか1つでも厄介な所、複数が組み合わされる可能性も結構あるっていうのが頭痛ポイントだけど。
じゃあ、何かそれっぽいものは今までにあったか、と、言われると……まぁ、心当たりはあるんだよな。
「どうも冷人族の人達が鍵の様な気がするんですよねぇ……」
もちろん司令部だって、氷の大地の東端までの未探索地を探索したり、あの巨大なクレーターに「下」が無いかどうかを確認しているのだろう。当然冷人族の人達の方にも気を配っている筈だ。
だから、何かあれば……昏睡を続ける冷人族の人達が目覚めたり、襲撃があったり、“雪衣の神々”から託宣があったりすれば、即座に動いている筈だ。
私自身が最前線に張り付きっぱなしとは言え、それっぽい動きがないって事は、少なくとも現状を変える程の動きは無いって事だ。だから、少なくとも効果がゼロではない現状を維持している訳だし。
「あちらには「第一候補」も付いていますし、大丈夫、だとは、思うんですが……」
どうすればいいんだろうな? 本当に。……うっかりドがつくほど初歩的な所で蹴躓いてないといいんだけど。
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