第426話 18枚目:ようこそ新人さん
その後、ログインしてきたカバーさんと、「第五候補」付きとなっていた元『本の虫』メンバーであるクロスさんが情報を整理、しばらく打合せした後、予定合流時間の内部15分前に、私にも地上1階に移動してほしい、という内容の連絡があった。
インベントリの確認と整理を止めて移動する。格好は再現衣装のドレスのままだ。動きづらいという事も無く、内側にあの文様が入っているらしく装備効果もほぼ変わらない。……どころか「魅了+」っていうのが追加されてたから、私の可愛いがさらに加速してるなこれ。
途中でタイミングよく戻って来たのか、それとも丁度休憩か何かの時間だったのか、地上4階を所在無げにうろうろしていたルドルについてきて貰って地上1階へ。
「さて新たな
『『きゃぁああああああっっ!!』』
声を頼りに会議室風になっている部屋の1つに顔を覗かせると、そんな甲高い声が上がった。おっとぉ、文字通りの黄色い声ってか。ははは、まぁ私(の
で、新人って一体どんな人だ、と思って部屋の中を見るのだが。うん? ソフィーネさんが両手を猫の子でも捕まえるみたいな形にしてるけど、手が空っぽだぞ?
……あ、いや、違う。通常だと不可視の種族なのか。魔力を意識すると何か塊が捕まえられてるな。確か【徒手空拳】のレベルを上げると、非実体の相手を殴れるようになる付与アビリティを覚えた筈だから、それを使ってるのかな?
「えーと……新人さんと言うのはもしかして」
「そうなのよ~。それぞれ、ウィスプとクイックシルバーらしいんだけどね~」
「なるほど」
つまり、ゴースト系ってやつだな。霊体種族で、もちろん魔物種族だ。そんでもって種族というくくりでカウントするのが非常に難しい種族でもある。それをランダムで引き当てるとは、ある意味強いな。
へー。と思いながら部屋を見回し……あれ? 非実体なのがもう1人居るな?
「で、そちらの部屋の角に居られるのは?」
「あぁ~。流石「第三候補」ねぇ~。そちらは、ドッペルゲンガーらしいわよ~」
「……霊体種族はこの場所に現れるって事ですかね?」
「という訳でもないようです。……話を聞いたところ、どうも実のご姉妹とその父親らしく」
「縁の概念ってありましたっけこの世界」
ちょっとメタが入ってしまったがまぁともかく。「第五候補」とカバーさん達が聞いたところによると、あと母親と長男を含めた5人家族が全員揃ってフリアドを始める事にして、全員がランダム種族を選んだのだそうだ。
既に掲示板でやり取りはしていたらしく、母親が天狗、長男が人魚なのだそう。うーん中々ハードだな。まぁ覚悟の上なら歓迎するけど。
種族単位で守護する神がはっきりしている種族の場合はその神の領域に現れるのだそうで、今一番自由に動けるのが母親なのだという。長男の方はまず【人化】のレベルを上げないとどうにもならないと練習中のようだ。
「最初は驚いたらしいんだけど~、とりあえず自分の種族と初期スキルを確認して~、掲示板で連絡を取り合って、ってしてる間に~、私達が来たみたいでね~?」
「なるほど。それで……姉妹は大興奮状態と。ところでさっき喋ってませんでした?」
「ものすごーく頑張れば~、何とか声っぽい音が出せる、ぐらいみたいよ~」
「あぁ……喋るのにも制限がついてるパターンですか……」
通りでさっきから『きゃー!』しか聞こえない訳だよ。たぶん新人3人の方は同族補正で意思疎通できるんだろうけど、私達はそれ無いからな。カーリャさんならいけるかどうかって感じだろう。
しかし家族揃って元旦の朝からゲームとはなかなか気合が入った楽しいお家みたいだな。是非とも頑張ってほしい。霊体種族は前例がほぼ居ないから、進化条件とかもほぼ分かってないしね。
「しかし流石というべきか、一気に人数が増えると見た事のない種族も増えるようですね」
「と、言いますと?」
「非実体系、物質系、動物系と、実にバラエティに富んだ種族になった新人の方々の「何処に行けばいいのこれ!? というかそもそもどうやって動けばいいの!?」という悲鳴が掲示板上で大変な事になっています」
「……心折れずに続けて欲しい所ですね。動物系はみのみのさんやニビーさんという前例が居ますから、合流さえできれば何とかなると思いたいところですが」
カバーさん読み上げも上手いね。パニックになってる感が良く出てたよ今の。しかしそうか。やっぱり数って言うのは大きいんだなぁ。母数が大きいからランダム選択の比率は下がっても、絶対数が多くなるって事だろうし。
しかしここで新人さんに出会っちゃうかー。この後は全員揃って探索というか長距離移動の予定だったけど、その辺も含めて相談し直しかな。
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