第305話 14枚目:イベントおまけ
さてイベントが終わり、次のイベントまではエルル指導の下海岸の氷を相手に体術の訓練だ。
……と、思ってたんだけど。
〈……なるほど。竜の子ではありますが、それにしては……。いえ、今後次第、なのでしょう〉
何故か「第一候補」に呼ばれて、“雪衣の冷山にして白雪”の神と謁見する事になっていた。何故だ。「第一候補」はちょっと来てほしいとしか言ってくれなかったし。だからほいほいと付いて行ったらこの状況だよ。
あ、神様の呼び名はポリアフ様だったよ。4姉妹の一番お姉さんだって。予想通りだね。
しかしポリアフ様相手に何かフラグ踏んだつもりはなかったんだけどな。ワイアウ様よりなお白く、よりはっきりした美人さんだ。今の身長は……30㎝ぐらいだろうか。
〈では、竜の子。1つ、頼んでも良いでしょうか〉
「はい、もちろん。私にできる事であれば」
〈正直で宜しい。とはいえ、ここまで自力で来たのであれば、そう難しい事ではありません。……妹達を、この神殿に呼び寄せたいのです。可能ならば、私達に仕える者達も〉
私っていうか、エルルへのお仕事だったようだ。「第一候補」の注釈によると、やはり姉妹だけあって女神様達は一か所に居た方が力を出しやすく、また南側より北側の方が本来あるべき場所である為、安定もしやすいらしい。
仕える者こと神官の人達についてはカバーさんに問い合わせてみた。すると、やはり小人族は大陸の上の丸に当たる部分に大部分が住んでいたらしく、戻れるなら戻りたいと言っている、との事。
『我としても、共に祈りを捧げる者が増えるのは喜ばしい事である故な』
「なるほどそういう事ですか。もちろん問題ありません。すぐ動きますね」
それにネレイちゃんもそろそろ着替えが欲しいだろうしね! ポリアフ様の力が及ぶ範囲なら多少寒さも抑えられるという事で、『本の虫』の人達も同行を申し出ている。特に「第四候補」付きになるチームの人達とか。
という事で快適快速エルル急行で大陸を往復。ついでに「第一候補」から言われたので、北の人魚族の神官さん達の様子を見ると……うーん、滂沱の涙を流し過ぎて脱水で倒れちゃったかー。
加減を覚えような、って言われてたじゃん。だからふらふらしながら精神集中に戻ろうとするんじゃないよ。小人族との交流で食糧事情も多少は改善されたんだから、まずは自分の体調を万全にしろ! ちゃんと食べて寝てストレッチ! 話はそれからだ!
「しかし、我らは……」
「と、「第一候補」からの伝言です」
「分かりました」
なお、事後承諾だ。間違ったことは言ってないよ? むしろド正論を言ったという自信がある。伝言ではなかっただけで。大丈夫だ、事後でも承諾は取ったから! 「第一候補」もウィスパーの向こうで笑ってたから問題ない!
という事で、ポリアフ様の神殿に、一気に人が増えた。もちろん神様(3姉妹)も含む。賑やかになったもんだ。
けどそうすると当然必要になる物も増える訳でー、とりあえずお肉は私達が此処に来るまでに(エルルとサーニャが)狩ったモンスターと普通の動物のお肉を出せばいいとして、植物の苗は植える場所が無い。何せ、地面まで凍り付いてるから。
「まぁそこで俺の出番だよな。頭数が要る作業はまーかせろー!」
防衛の仕事が無くなった「第四候補」が張り切って山全体の除雪を始めたから、多分そのうち解決すると思うけど。すごいよね。除雪して、その雪で作業員が増えるんだから。加速度的に除雪スピードが上がっていくのはある種壮観だ。
で、呑気にそんな模様を観察している私が、ポリアフ様のお願いを完遂して暇かというと……実はそんな事なかったりした。
「いやぁ大陸中をあっちこっち忙しいったらないですねぇ。主にエルルが」
「まぁ別にいいんだけどさ。お嬢は1人だしあいつはあいつで護衛戦力と氷割りの仕事があるし」
「くそう! ボクも姫さんと一緒にお届け物したかった! なぁエルルリージェ今からでも頼めばその背負い籠みたいなの作って貰えないか!?」
「多分無理だろうな。そんな暇ないって意味で」
「チクショウ!!」
……女神様達のお願いだし、たぶんこれ次のイベントの伏線だからいいんだけどさ。
大陸南側にある小人族の集落に、「第一候補」監修、小人族の神官さん達作成で、女神様4姉妹の小型の像を配って回るって言う仕事があったからね。女神像はインベントリに入れられないから、私がエルルの背負い籠に入った状態で支えるしかない。
そして小人族の集落も、
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