第187話 12枚目:イベント開始
さて、釣り竿や船の事を渡鯨族の人達に聞いて、【釣り】習得のために沿岸で釣りをしたりしている間にイベントは始まった。
といっても見た目には何が変わった訳でもないんだけど。準備中だった貸し船屋が営業中になったりとか、それぐらいだろう。ちなみに
で。一か所に同じ目的でたくさんの人が集まると、まぁ、それなりにトラブルも起きると……
『思ってたんですがそれどころじゃないですね』
「あっちは大型魚系モンスターと戦闘中、そっちは超重量物を釣り上げて沈みかけ、釣り上げた魚に食いついて来たモンスターに襲われてるところもあるし、てんやわんやだな」
「モンスターの群れに大きいのが付いてきたりしたら大惨事ですねー」
控えめに行って阿鼻叫喚な港周辺の釣り模様を、【人化】したルチルが抱える籠から見ながら眺めて感想を呟く。どこもかしこも釣りどころか沈まないように精一杯って、これイベントの趣旨的に大丈夫なのか?
いやまぁ釣り自体は出来てるからいいのか。デスペナルティに特殊ドロップの追加は無かったし。船の上で戦う事への慣れが無いっていうのもあるだろう。……慣れで戦えるようになるかどうかは別として。
「それじゃお嬢も起きた事だし、俺らも始めるか」
「フライリーさんはまだ寝てますから、僕は残りますねー」
『よろしくお願いします』
という事で私入りの籠がルチルからエルルに移動。上に布をかぶせられてるけど、エルルが抱えて持ってるって時点で中身は大体分かるだろうなこれ。でもこうしないと隠れながら周りが見えないし。
そうそう。釣り竿だけど、生産道具と同じ要領で扱えることが分かった。イベントまでの猛特訓で、魔法的ステータスは大分高いフライリーさんも上手く使えるようになったから、イベント開始前の早めの移動が功を奏した形だ。
『重量物を狙っていきましょうか。鍵になりそうな気配もしますし』
「まぁいくら重くても、それだけなら問題ないしなぁ」
ということで、大型ヨットあるいは小型クルーザー的な船に乗り込んで海の上へ。魔力で動く動力があるので、運転はエルルにお任せだ。これもイベント前に体験させてもらったのでスムーズに移動できる。
他の船をうまく避けつつ沖合に出れば私も籠から出られる。人目がゼロになった訳ではないけど、まぁそこは上手く船を目隠しにしつつって事で。
『海鮮料理楽しみですねぇ』
「そういう意味でも大物を狙っていきたいなー」
そうそう。たぶんイベント的にはおまけなんだろうけど、船には海産物限定の固定アイテムボックスがくっついている。そしてそこに釣った魚(一部モンスターも含む)を入れて港に戻ると、渡鯨族の人達が海鮮料理を作ってくれるのだ。
私的にはそっちがメインまである。だって人魚族の人達の所で食べた海鮮料理、ほんと美味しかったんだから!
という訳で、ひたすら釣って釣って時々殴って、その間ちょいちょい移動しながら数時間が経過した。漁果としてはなかなかじゃないかな? 魚と魚型モンスターがほぼ同量で、それらを合わせたのと同じくらいの謎物体が釣れている。
なお同じなのは数の話であって、重量となると魚<魚型モンスター<(越えられない壁)<その他となるが。いやー、魔力値参照の大容量インベントリがあって鬼族の一件の時に「第一候補」に重量物を渡せてて良かったよね。
これも【鑑定☆】すると経験値になるらしく、【釣り】と合わせて大変美味しい。これならこのイベント中に進化できそうだ。……まだ次も子供時代みたいだけど。
「……あれ? お嬢、【鑑定】ってカンストしてなかった?」
『あぁ。一旦はしたけど「白紙のスキル書」を使ったら限界突破できるみたいなんだよね。スキルは自力で獲得する事が多いから余っちゃって』
「うわ、贅沢」
積極的に鑑定している私の様子を見てエルルが首を傾げていたが、素直に答えると若干呆れられてしまった。だってイベント報酬はともかくダンジョンの発見報酬や攻略報酬でいっぱい手に入るし。
なので【鑑定】は【鑑定☆】へと変わり、まだまだレベルが上がって行っているのだ。表示される情報量は今の所変わらないが、消費する魔力が少なくなったり連続で使えるようになったり、地味に便利な変化をしている。
他の鑑定系スキルのレベル上げの事も考えると、経験値が勿体なく感じたんだよね。それに最初は「白紙のスキル書」も1個しか消費しないし。2回目以降はその回数分だけ必要になるみたいだけど。
「ていうかそれ、本来なら自分が一番得意な武器スキルや魔法スキルに使う為の方法なんじゃないのか」
『だとは思ったけど別に使うなとは言われてないしー』
「この降って湧いた系お嬢は……!」
おっとお説教の気配。何故だ。これからも使いまくるのが確定してるのにカンストしてたら経験値が勿体ないのは確かじゃないか!
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