第186話 11枚目:対処の方法
まぁメイン会場が渡鯨族の所なら、と、翌日のログインでフライリーさんとタイミングを合わせて早速移動だ。快適快速エルル急行は本当に助かる。
そうそう。私とエルルがオンラ様の件であれこれしている間に、フライリーさんは進化をしていたらしい。ちょっぴり身長が伸びて、ドレスのフリルが豪華になっていた。気持ち飛び回る動きのキレが増した気もする。
私の進化の方は……1周年までに【幼体】が進化するかどうかは微妙、というところだ。その次? ……3つ目の大陸には間に合うといいなぁ。
「あぁ確かにこれは……」
「賑やかですねー」
「っすねー。つか有名人がめっちゃいるんすけど」
まぁそんな訳で到着した大陸北東、渡鯨族の港町は、たくさんの
問題は、こうやって人が増えるとエルルがだいぶ注目されるって事だ。何せ私(「第三候補」)と一緒に居るというのは既に知られている。フライリーさんが(恐らく)人間種族
流石に普通に街を歩いているところに絡んでくる猛者はいないようだが、このまま無事に行くかどうかというと……。
「偉そうにしてんじゃねぇぞこのチート野郎!」
……予想してたのと随分違う角度の絡まれ方に、私だけではなくエルルとルチルも首を傾げているようだ。私としては「そっち?」という感じだし、エルルとルチルは住民だ。多分、言葉の意味自体が分かっていない。
しかし何をもって偉そうにしているというのかから分からないし、そもそもチートなら運営からペナルティがあるだろうに。いやまぁ、想定外ではあるだろうけども。怒られてないからセーフなのだ。
流石に
「……お嬢、「ちーと」って何?」
『悪態の1つですね。ただ、それを使う相手は大抵悪戯して気を引こうとする子供のような精神構造をしているので、無視が一番効きます』
「なるほど」
「先輩、流石っすね……」
『他に言い方なんてないでしょう?』
言葉の意味が分かっているフライリーさんは、私のざっくり切り捨てる言い方に慄いているようだ。が、実際そうだろう。あぁいうやつは何処にでも湧くもんだし、相手するだけ時間のロスだ。
関われば関わるだけ真面目な方が損をする。そんな奴に関わる必要なんて微塵もない。ぶっちゃけウザくて邪魔ではあるが、払いのける為に手を出したら手が汚れるだろう。
無限に疲れてそういうのに関わる奴というレッテルまで貼られるんだ。無視が最上に決まってる。
「……もしかして、結構程度の酷い言い方だったりする?」
「あー、まー……定番の中でも下から数えた方が早いのは確かっすね」
『どうせ言葉の強さで自滅しますよ。他人を引きずり降ろして安心と愉悦を得る小物ですから、関わったらそれだけ不幸になります。無視一択です』
「先輩徹底してるっすねー」
「つまりそれだけ質の悪い相手って事ですかー。分かりましたー」
まぁそれはそれとして通報はするけどな!
そもそもこの雑踏で声だけ投げてくるあたり、姿を現すガッツも気合も無いって事だ。そんな卑怯者と同じ舞台に立ってやる必要は無い。フリアドの運営はその辺きっちりしている(検証班の皆様調べ)ので、その内通報が積もり積もって消えるだろう。
「しかし、お嬢にしては対応が厳しいな?」
『……まぁ、ちょっと、あぁいう類関係で色々あったというか、色々あったのを間近で見る事になったというか……』
「あ~……先輩も大変だったんすね」
『正直二度と御免ですね。なので、無視で』
「ふーん」
……まぁその。コトニワの友人がそれに絡まれてね。友人は過激派だったから、そりゃもー派手に炎上したもんだ。その過程を傍観者としてとは言え眺めて来た身としては、関わっていい事なんて1つもないと断言もするさ。
え、その時の最終決着? ……裁判沙汰まで行ったよ。もちろんその友人が勝った。その様子もブログに書き込まれてたから知ってる。いやぁ、ガチの過激派は敵に回しちゃダメだといういい勉強になったよ。
そう言えば彼女……直接会ったことは無いネット上の付き合いだが、それなりに長い友人なので大体性別ぐらいは察せる……もコトニワの最終日まで残ってたな。元気、にはしてるだろうけど、今何をしてるんだろうか。
『…………普段は陽気で済ませられますが、正しく言えばバーサークとバトルジャンキーのハイブリットでしたからね、彼女……』
「「「?」」」
思い出して思わず口に出た感想に、3人から何事? という視線が向いた気がしたが、まぁ今は関係ない事だ。
…………たぶん。
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