第66話 7枚目:今後の予定
エルルに改めて、累計種族レベルを聞いてみた。
「累計? えーとちょっと待てよ……あぁうん、12900だからまだまだ若造だな」
「キュ(私1000で止まったんだけど)」
「はぁ!!??」
エルル、驚愕。……たぶん、そんな低いの、っていうのと、そんな低さで俺より強いの、っていう2重の意味で。
宇宙へ旅立ってしまったエルルの精神を引き戻しつつ、種族レベル由来の物には対応するスキル……【成長因子】があると説明してみた。すると何故か、渋面になってしまうエルル。
「……それ、限界突破個体特有のスキルだぞ」
「キュッ(マジで)」
「マジで。本来俺らの成長限界は数万だ。それを越えてまだまだ成長が止まらない奴が極稀にいて、そいつらが持ってるスキル」
「キュ(すうまん)」
「普通一般竜族でな。……お嬢、真なる竜の血族だろ。多分十万はいく筈だ」
「キュ(じゅうまん)」
……通りで簡単にレベルキャップに到達する筈だ。本来の100分の1か。【真・竜の血脈】スゲー。なんかそろそろスキル進化しそうな気もするけどスゲー。
しかし限界突破個体特有のスキルと来たか……いや、まぁ、うん。第2陣がいつになるかは分からないが、もし既に神が解放されているところに来たら、最初からレベルキャップは解放されている筈だから、いいのか。
…………その【成長因子】が、推定最大レベルに進化の前に達しそうなんですがこれは。うん。【未熟体】がここまで時間かかると誰が思うよ。つーか健康的な食生活になったら【未熟体】の成長が鈍くなったのはこれ、どういう事?
「んじゃあとりあえず、人の街だな? ……そう言えばお嬢というか、お嬢含む召喚者ってどの辺に居るんだ?」
「キューキュ、キュゥ(『スターティア』が始まりの街って呼ばれてて今で一番進んでる場所で『ジャニパス』って街だけど、他でもいいと思うよ)」
「……国の名前は?」
「キュッ(誰も首都に辿り着いて無いから分かんない)」
「まじかぁ。……まぁ妖精族の事を考えると、国の名前言われても分からなそうだけど」
「……キュ(確かに)」
なおエルルの言い分としては、召喚者が行ったことのない場所では受け入れ体制が整っていない可能性があるから、出来れば他の召喚者がいる場所の方が良いんじゃないか、との事だった。
……なるほど確かに。初来訪特典とかありそうだし、それを横取ったら大変恨まれそうな気がする。てことは、目指すは『スターティア』だな。そこが色々な意味で一番角が立たないだろう。
一応魔物プレイヤー専用掲示板で聞いてみたが、うん。あのウッドモンキーのプレイヤー含み、誰も人の街に行ってなかった。なんてこった。
「へー、便利な物があるんだな」
「キュ?(エルルは使えない?)」
「そもそもどうやって出すのかが分からないからなぁ」
ちゃかちゃかと掲示板に書き込んで反応を見ていると、それをのぞき込んだエルルからそんな感想。まぁ確かに? メニューからこうするんだよ、と言ったところで、インベントリの操作もステータスの確認も感覚でやってるエルルからすれば分からないか。
と、ウッドモンキーのプレイヤーから反応有り。お? おお? マジか。これは助かる!
「キュ、キュゥ(エルル、街の近くの魔物から地図貰った)」
「お、それは助かるな」
どうやらせっせと道具を作り、地形を調べていると【測量】スキルが生えたらしい。それを使ってウッドモンキーのプレイヤーは『スターティア』周辺の地図を作製していたようだ。
元々は緊急避難路の確保と安全地帯の確認のためだったらしく、来てくれるなら是非ぃいいいい!! と、献上される勢いだった。うん、これは街に入る前に立ち寄らなくては。
と、決めたはいいが……目印代わりにとエルルの風貌を書き込むと、それを目指して集まれる範囲は集まってみないか、という話になった。しかもどんどん参加者が増えていく。
「……なんか、大変な事になってないか?」
「…………キュゥ(皆交流に飢えてるなぁ)」
「なぁこれ主に苦労するのまた俺だよな? なぁ? お嬢?」
エルル、すまない。
実質の『スターティア』への道案内役よろしく頼んだ。
「マジか……。引率役とか聞いてねぇ……!!」
「キュ……(私も引率役になるとは思ってない)」
「何かいつの間にか日程まで決められてるし……うん? いんそつ……やく、もくげきしょうげん? とうごう、すれっど?」
「キュ……。キュ、キュッ……(わぁ……。エルルを見つけたら書き込んで、文字通り目印にするっていう場所が出来た)」
「あ、そういう……おい待て誰が子守りドラゴンだ!?」
幸いというか何というか、リアル明日と明後日はイベント最終日にして土日だ。
……諦めて、ランドマーク役頑張ろうか。
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