第42話 6枚目:キャップ到達

 そして当然の流れで、私もめでたく(?)累計種族レベルをカンストした。表示としては種族の下に表示されていた「累計Lv[***]」の横に、星マークがついた。これがカンストの証のようだ。

 で、その時点で新しいスキル【成長因子】を自動取得。必須スキルのようで、何故か2つ開いたスキル枠のうち1つに自動で入った。もう1つはどうするか、としばらく考え、一応という事で【忍び足】を入れておく。

 さてこの自動取得・自動メイン入りしたこの【成長因子】だが、名前からして期待大のスキルだ。スキルヘルプを呼び出して詳細を確認する。


「キュ、キュッ(あぁ成程、つまり種族レベルの代わりか)」


 【成長因子】のヘルプを読み取ると、あくまで種族レベルの上限はレベルによるステータスの増加を制限するものであり、「レベルを上げて物理で殴る」……つまり、ステータスの暴力を抑制する為の物のようだ。

 だから種族レベル依存のスキルの成長はそのスキルの上限が来るまで鍛えられる。が、仕様的に種族レベルの上限の方が絶対に早く来るため、この【成長因子】というスキルが存在するらしい。

 私で言うと【真・竜の血脈】と【成長強化】の2つだが、こちらのヘルプを確認すると、確かにレベルの参照先が種族レベルと【成長因子】のレベルの合計、という風に変化していた。とりあえずは一安心だ。


「キュ、キュキュ(で、進化についても【成長因子】のレベルを消費する形で種族レベルが上がった扱いに出来ると)」


 つまり本来必要な種族レベルが100であり、60でレベルキャップに達した場合、【成長因子】をレベル40まで上げれば進化できるという事になる。進化すると【成長因子】のレベルは0まで戻るけど。

 で、【成長因子】のレベルを消費した分だけ【因子痕】というスキルのレベルに加算されるらしい。これはメイン入り出来ない完全な控え限定スキルだ。

 ちょっとまとめると



種族レベル60(進化にはレベル100が必要)の場合。

【成長因子】がレベル40の場合、【成長因子】レベルは0になり、【因子痕】がレベル40になる。

【成長因子】をレベル50まで育てていたら、【成長因子】レベルは10まで下がって止まり、【因子痕】はレベル40になる。



 ……まとめてもややこしいな。つまり種族レベル+【成長因子】レベルが進化に必要で、【成長因子】で進化したら【因子痕】というスキルのレベルが上がるって事だ。

 ちなみに、【成長因子】及び【因子痕】に特段効果は無い。と、ヘルプには書いてある。……ヘルプにはな。


「キュッキュー(なーんで成長痕じゃなくて因子痕なんですかねぇ)」


 うん。正直な。【因子痕】のスキル名を見た瞬間、お前かー! ってなった。それで進化しても何も変化なかったんだなそうかお前か!! ってなった。

 何がって、あの、レベルが爆上がりしてる【○○の因子】シリーズが、だよ! 正確にはその発動条件だけど!! レベルカンストして初めて発動するとかエンドコンテンツか!?

 爆弾かな。爆弾の気がする。魔物プレイヤーって何でこんな爆弾多いの? ……そこ。レア種族の宿命だろとか言うな。


「キュ、キュキュ(とりあえず、進化するまでレベルを上げてみないと何とも言えないな)」


 まぁ無事進化できると分かったんだ。とりあえず今はそれでよしとして……【人化】のロックが外れるように、頑張ろう。

 ……しかしほんと、いつになったら【人化】が使えるんだ。多分【幼体】じゃまだ足りないような気はするんだけど。……まさか【成体】になってからとか言うなよ? 心が折れそうになる。


「キュ。……キュ。キュッ(しかし【因子痕】かぁ。……効果なしとか絶対嘘だろこれ。絶対何かあるだろ)」


 ガサゴソと地面を掘るのを再開しつつ、やたらめったらスキルレベルの上がっている各種因子スキルを思い返す。種族分岐のスキルかと思っていたら、もしかしたら別の使い道もあるのかも知れない。具体的には浮かばないけど。

 そもそも、レベルを消費するという形にする必要が無い気がするんだよな。単なる種族レベルの代わりなら、それこそレベルを参照するだけでいい筈だ。それが、わざわざ名前に因子と入れて、レベルを消費して、更に別のスキルにレベルが加算されるとか。

 もう、「因子と名前の付くスキルには何かあります」って言ってるようなものだと思うんだがどうだろう? 「第一候補」辺りに聞いてみたい。お前何やってるんだって大笑いされそうだけど。

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