第41話 6枚目:4回目進化
当然、壁にぶつかると分かっていても進む足を緩める事はあり得ない。「第一候補」に遅れる事1週間、途中で「第二候補」もレベルキャップに到達したという報告を聞き流し、【卵体】のレベルが1から0になった。
[スキル【卵体】のレベルが上がりました
スキル【卵体】がスキル【未熟体】へ変化します
進化の条件を満たしました
進化が自動実行されます]
……嫌な予感はしてた。嫌な予感はしてたんだが……ちょっと、顔を覆って膝をつかせてほしい。流石に受け止めきれない。ナニコレ。無理。
「……キュー……(【未熟体】って何)」
搾り出すようにだが、声が出た。知ってる。自動進化の時に、アクションを要求されたから。具体的には卵を割る動きをしろって言われた。アナウンスで。当然、久々に感覚の戻った体をじたばた動かし、見事殻を割りましたとも。
でも、無理。何、【未熟体】って。【幼体】じゃないの。やだぁ。
「……キュゥゥ(【成体】までに一体何段階あるんだろう)」
なお、他の魔物プレイヤーの協力で、【成体】でマイナススキル扱いが終わるというのは分かっている。そこからは色々だが、【特殊個体】とか【戦闘体】とか、ステータス全体に結構なプラス補正が入るスキルになるようだ。
……当然、【成体】より前はステータス全体にマイナス補正が入る、マイナススキルである。
「……キュッ(ステータス)」
それでも、何とか気力をかき集めてメニューを表示、ステータスを確認することにした。進化したなら、種族が変わっている筈だ。ごっそりあるスキルは後で見るとして、種族は、と……。
「……キュゥ……?(「ノーエレメント・ドラゴン・パピー・ウィークベイビー」……?)」
……まぁ、【幼体】じゃない時点で、何となく、そんな感じじゃないかな、とは、思ってたけど、さぁ……。
パピーとベイビーで意味が被ってない? で、ベイビーの前にウィークってついてるって事はこれ、【幼体】までに少なくとももう一段階あるな?
累計レベル、もう1000の大台が目の前なんですけど?
「キュ(詰んだ)」
ボックス様が居て詰むなんてあり得ない。それは思う。思うし信じている。……だが運営はボックス様じゃ、ないんだなぁ。
前回のログインはとりあえず【屍竜の戦夢】前まで移動した所で時間切れ。平日だったので普通に起きて学校に行って授業を受けて帰宅。夕食その他を済ませていつものログイン時間になった。
しかし、種族レベルのレベルキャップ。種族レベルが上がらない、という事は、当然種族レベル依存のスキル……【真・竜の血脈】と【成長強化】も上がらない、という事だ。
スキルのレベルは上げられると「第一候補」及び「第二候補」は言っていたが、スキルのレベルが種族レベルでしか上がらないなら、上がらないだろう。となると、成長の加速度にもストップがかかるという事だ。どうしたものか。
「キュゥ(まぁやるだけやってから考えるか)」
そこ、行き当たりばったりとか言わない。何せ前例が少なすぎるのだ、仕方ない。……完全に無駄にはならないだろう、流石に。何の特典も無しというのは開拓の精神をへし折ってしまう。
前例が少ない、と言えば、結局この【○○の因子】というのは何なのか。進化の時にアクションがあるかと思ったら、結局何もなかった。卵から孵ったんだぞ? アクションやアナウンスの1つもある筈では?
とか思いながら何をやっているかというと
「キュッキュ(流石に戦闘があるのが分かり切ってるダンジョンには挑めないからなぁ)」
【卵体】になる前に作り上げた掘り返した土の小山、それがごっそりと砂に変わって出来た大穴を広げる形で、土を掘っていた。ついでに時々つまみ食い。とりあえず上げられるだけは上げてみてから考える、の言葉に偽りはない。
まぁ種族レベルの残り()は50を切っている。スキルレベルに換算して250だ。……まぁ、今までのペースで上げていたら秒殺で間違いない。というか、【竜の因子】だけで到達する気がする。
問題は、問題の先延ばし……もとい、ダンジョンアタックのタイミングをどうするかだが、せめてもうちょっと、せめて1ダメでも入る状態にしてからでないとクリアも何もあったもんじゃないだろう。
「キュ(防御は出来ないから回避するしかないな)」
なので、【穴掘り】ではなく【採取】にカウントされるらしい穴掘りをしながら、爪とか尻尾に関するスキルが入らないかなぁ、とちょっと期待している。
あ、ちなみにダンジョンからここまでは結構離れているが、直線で丁度今の私がすっぽり入るぐらいの穴、というか、溝を掘っておいたので迷う事は無い。直線上にあった骨とか財宝は美味しくいただきました。
掘り返した土や出てきた装備は大穴の真ん中に積んでいる。あとでドラゴンの骨も引っ張ってこなければ。……当然、ログアウトしてからアバターが安全になるまでに吸収するのが目的ですが、何か?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます