第40話 6枚目:レベルキャップ

699.第一候補

種族レベルの上限が分かったので知らせておくぞ

どうやら累計で1000よりは上がらないようだ


700.第三候補

マジですか

そんなのすぐ越えるんですが?


701.第二候補

まぁそんな悩みを抱えとるのはワシらぐらいじゃろうがな

して、第一候補

通常の鍛錬は変わらずできるのかのう?


702.第四候補

すぐ越えるって第三候補おま

俺まだ500越えたとこなんだけど


703.第一候補

安心するといい

そちらは変わらず鍛えられるようだ


704.第五候補

あら~

でも、種族レベルが打ち止めってことは~

進化とか、大丈夫なの~?


705.第三候補

こちらはようやくまともに動けるかどうかという瀬戸際なのですが?

次の進化は多分、出来ると思いますが……

その次は無理です


706.第二候補

成程そちらじゃったか

……確かに、進化が打ち止めとなると、厳しいのう


707.第四候補

うわぁ……

俺らの中でも、やっぱ上3人は違うな……



「……(マジかぁ)」


 冬休みが明けたタイミングで、候補者専用掲示板にそんな書き込みがあった。ほんとにもう、心の底から、マジかぁ……である。

 なお現在の【卵体】のレベルは28だ。ようやく終わりが見えてきたところでレベルキャップの報告。……卵から孵るのは出来るとしても、その次、想定【幼体】からは脱せなくなるのは、うん、困る。大変困る!

 そうでも無さそうな「第四候補」に若干の嫉妬を覚えつつ、頭を抱える。いや、抱える手も頭も無いんだが。気分だ。


「………………(進化は種族レベルが大前提。特定スキルが一定レベルに達していれば特殊進化で、特定アイテムを持っていると更に特殊な進化になる、場合がある)」


 なおこの情報のソースは検証班の皆様なので、少なくとも今現在最も確度の高い情報だ。なお、通常の場合進化するかどうかは選択できるし、普通は通常進化が先に来る。

 そして自動進化と通常進化の自動キャンセルが起こるのは、進化に必要なスキルがマイナススキルである場合特有の現象だというのも分かっている。これは魔物プレイヤーから情報提供した。

 その種族レベルが、累計で1000を越えると上がらなくなる。……うん。詰んだのでは?


「…………!(マジかぁ……!)」


 もはや他に言葉が出てこない。つーか運営、世界のバックストーリー(推定)的に魔物プレイヤーが不利になるのはまぁ理が通るからある程度納得するが、ちゃんとした種族になるまでの必要種族レベルぐらい計算しろ!? それを越えるレベルでキャップをつけろ!?

 もうほんと勘弁してほしい。このペースだと、間違いなく次の進化は種族レベル不足で起こらない。何故なら【幼体】はマイナススキルの進化必須スキルだからだ。

 何故わかるかって? 【幼体】は持ってる魔物プレイヤーが居たんだよ。そのプレイヤーからの情報提供だ。……もっとも、その【幼体】と私が手に入れるだろう【幼体】とは違う可能性も捨てきれないが。スキルの進化段階という意味で。


「…………(いやほんと、どうしろと)」


 流石にシステムばかりはどうしようもない。……何が厄介って、レベルキャップで詰むのは恐らく、私達固有名詞持ちの「魔王候補」だけだ、という事だ。

 たかだが数人の為に、レベルキャップが解放されるか? というと……まぁ、うん。それは……無いだろう、な。ただでさえ不利にされている魔物プレイヤーなんだし。

 となると、出せる結論としては、こうなる。


「………………(【卵体】はまず脱せる。弱かろうが動けるだけマシ。その状態で戦えるようになるしかない)」


 ……こうなると、本当に、最初のイベントで手に入っていたはずの魔法スキルが無いのが、痛いなぁ。7属性分の魔法スキル。あれがあれば、魔法使い一直線とは言えまだマシだっただろうに……。

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