第7章 第11話

★★★★魔弾の射手

矢の速度が上昇する。

矢の飛距離が伸びる。

矢のダメージが増える。


Seregranceが手に入れたのは、弓矢に特化したスキルだった。

「このスキル凄いわよ。今までとは別のゲームしてるみたい。」

今までになく楽し気なSeregrance。

今までになく実験台にされる俺。


11エリアに到着し、早々にメインダンジョン出現の条件をクリアすると

ギルド本部に籠もり、Seregranceのスキル確認に延々と付き合わされていた。


弓を引き絞ると、照準が表示されるようになったり、

カメラのズームのように対象を拡大表示できたり、

弓矢での攻撃に関しては、かなり便利になるようだ。


『死者蘇生はここ一番で十分活躍してくれたから、

 これからはこのスキルでセレもゲームを楽しめるといいな。』

「これであなたを差し置いて戦闘に夢中になるようだと、

 まんまとニードに乗せられるようで癪だけどね。」

『いやいや、これまで俺に付き合ってサポートに徹してくれてたんだ。

 むしろここからは俺がサポートに回りたいくらいだよ。』



本部での引き籠りも終わり、再び合流の日。

待ち合せの宿屋前に向かう。

「やっぱりここでもこうなるのよね。」

案の定、ErsterSpielerの周りを何重にも取り囲む人だかりができていた。


「おっ、来た来た。

 みんな、それじゃそろそろお開きにさせてもらうよ。」

俺とSeregranceに気付いたErsterSpielerが、ギャラリーに声をかける。

ErsterSpielerの視線に合わせてギャラリーの視線がこちらに集まり、

さらにざわめきが大きくなる。


「さすがにみんな知ってるよね。時の人であるフィーアトさんと、

 パートナーであり★★★★スキル持ちのセレさんだ。

 これから彼らとデートなんだよ。」

人混みを縫うように近づいてくるErsterSpieler。

後ろにはドリッピーとHoneySwordもいる。

「さぁ、次で最新エリアだ。ちゃっちゃっと行っちゃおう!」

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