第7章 第7話

ログインし友達リストを見てみると、既に全員揃っている。

待ち合わせの宿屋前に行くと、女子会が始まっているようだ。

『お待たせ。』

「おっ!来たね、みんなの旦那様。」

『まだその設定続いてるんですか…』

ErsterSpielerの開口一番。


「もう私は諦めたから、あなたも諦めなさい。だ・ん・な・さ・ま。」

Seregranceまでも巻き込まれている…


「ボクはセレさんも好きだからなー。

 お兄ちゃんとお姉ちゃんって感じ?」

「わ、私はエアスタ様が居れば…」

珍妙を超えて混沌としたパーティーになってしまった。


『とりあえず、このエリアをクリアしようか…』



メインダンジョンに向かい、サクサクと攻略を進める。

久しぶりに面倒なギミックの無い、シンプルなダンジョンだ。

その分敵の数が今までと比べかなり多いのだが、こちらも5人パーティー。

圧倒的な火力で制圧していく。


というのは良いのだが…



「これは…ちょっと想定外ね。」

Seregranceがちらちらと後ろを振り返りながらつぶやく。

『エアスタさんと話した後のことまでは考えてなかったからなぁ…』

同じく後ろを何度も振り返りながら答える。


「スピさんが今注目のプレイヤーなのに加えて、エアスタさんまでいるしねー。

 ボクが2人と関係ないただのプレイヤーだったとしたら、

 やっぱり気になってしょうがないと思うよ。」

普段は図太い神経を見せるドリッピーすらも、やはり後ろが気になるようで

何度も振り返っている。


「有名税有名税。

 君は、もしかするとあたしより注目されてる、まさに時の人なんだから。」

さすがにErsterSpielerは場慣れしているのか、意に介した風もない。


『はぁ…初めて純粋にダンスをプレイできるって言うのに。

 これじゃゲームどころじゃないですよ。』

そっと後ろを振り返る。


人。人。人。人。

部屋どころか通路にまで溢れかえる程の人の山だった。

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