第6章 第14話
激戦を終え、ひとまず全員で街に戻る。
「さて、話を聞くって約束だったね。」
宿まで移動し、ふと尋ねられる。
「他の皆はどうするんだい?」
どうしたものか。Seregranceと2人、顔を見合わせる。
『ここまで関わってもらってるからなぁ。
聞きたければ聞いてもらって構わないんだけど…』
「そうねぇ。ただ、聞いて面白い話でも無いと思うわよ。」
ドリッピーとHoneySwordの顔を見る。
「前にも言ったけど、ボクはボクに手伝えることなら手伝うよ。
話を聞かせてもらえるなら、どれだけ手伝えるのか分かると思う。」
ドリッピーは即答してくれる。
「私は…聞いてもいいんでしょうか。
あなた達にやった事は申し訳ないと」
『ニードが急にしおらしくなると調子狂うな。
聞きたいなら聞けばいい。俺の強さの理由を知りたがってよな。
どうせなら、それも一緒に話すとしよう。』
ErsterSpielerを貶めようとしていた訳では無いことがハッキリし、
本人から迷惑だと言われたことも追い打ちをかけているのだろう。
HoneySwordのこれまでの傲岸不遜な態度が見る影もない。
「それじゃ全員で入ろうか。男性2人に女性3人。華やかだねぇ。」
「あ、エアスタさん。ボクも中身は女の子だよ!」
「わおっ、それじゃハーレムじゃないか!この色男めー!
あたしは第4夫人かー。」
「じゃぁ、ボクが第2夫人だねー。」
「わ、私は」
「重婚は認めませんっ!」
『どっちかっていうと、女子会に迷い込んだ可哀そうな男子だよ…』
若干ピンク色になった空気に負けそうになりながらも宿に入る。
『さて…思ったより人数も多いし、話しやすいところから話そうか。
すでにドリッピーには話してあることだけど…』
★★★★★スキルの話。2つ目の固有スキルの話。装備の話。
スキル強化のアクセサリを借りていること。
Dance with The Weaponでの自分のことを伝える。
「…呆れた攻略法ですね。」
「それを続ける気力もすごいもんだ。
説明されて理解はしたけど、マネできる気がしない。
でも、そこまでしてあたしに話したかった内容ってのは何なんだい?」
『それは…俺のリアルに関する話です。』
ドリッピーとHoneySwordを見ながら改めて問いかける。
『ここからはゲーム話は一切関係が無くなる。
特にニードは聞きたい話も聞けただろうし、
出て行くならこのタイミングだと思うぞ。』
2人が同じように首を振る。
『しょうがない。それじゃ続けるぞ。』
ErsterSpielerに向き直り口を開く。
『俺は、身体にこのゲームのコントロールチップを埋め込まれてます。』
ErsterSpielerがピクリと反応する。
事故にあったこと。
そこから強制ログインが始まったこと。
チップが埋め込まれていたこと。
自分に起こった事を順番に話していく。
絶望し諦めかけた人生。
なんとか道を探し、かろうじて見つけたわずかな希望。
それがErsterSpielerというキャラクターであること。
『俺のこの状況を聞いて、あなたが理解できるものであるのかどうか。
それだけを確認したくて、俺はDance with The Weaponを続けてきた
と言っても過言じゃないんです。』
『もし、理解できるのであれば。
杉田正美という人物を探す手がかりがもらえるのであれば。
どうか知ってることを教えてもらえないでしょうか。』
「えっ!?正美さんを知ってるのかい!?」
余程驚いたのか、飛び上がるErsterSpieler。
『知ってるんですか!?』
「知ってるも何も…彼はあたしに人生を与えてくれた命の恩人だ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます