第3章 第6話

[奪取するアイテムかスキルを選択してください]

パーティーをすべて倒し終わったことで、相手のアイテムやスキルを奪えるようになる。

…とは言え、俺の戦績じゃまず成功しないんだよなぁ。

成功率は最低保証の1%らしいし。

武器も防具もそれなりに強い物が揃っているようだが、俺の装備とは比べるまでもない。



飛んで行った槍を拾おうとするが、拾えない。

[このアイテム所有者がいます。所有権の解放まで、後290秒です。]

システムメッセージが表示される。


こっちはあと5分経てば拾えるようになるのか。


ひとまず奪うアイテムは、一番効果の高いポーションを選んでおく。

[奪取可否の抽選中…]

[奪取に失敗しました]

『そりゃそうだよな。』


幽霊の2人に振り返る。

おそらく蘇生ポータルに飛ばされるまで、後10秒くらいだろう。

『あんたの槍は後で届けるよ。街で待っててくれ。』


かき消える2人の姿。

さーて、槍拾って街に戻るか。



『へー、この槍結構面白そうだな。』

街までの帰りの道のりで、拾った槍のステータスをじっくりと見る。


武器には基本攻撃力の他、手に入るエリアに属する攻撃倍率と、レア武器固有の特殊能力がある。

基本攻撃力と攻撃倍率は、武器の入手エリアが進むごとに少しづつ上昇する。

初心者武器の基準値を150とすると、1つエリアを進むごとに基本攻撃力が+10、攻撃倍率が+0.1されていく。

+10で比較した場合に、初心者エリアと第5エリア武器とでは、攻撃力が2倍違う計算だ。


実際は、ここにさらに強化による攻撃力の変動があるのだが、

常識的な強化の範囲で言えば、ある程度エリアが進むと武器を持ち替えた方が強くなる。


だが、レア武器は違う

同じエリアで入手した同じ種類の武器でも、レア武器ごとに特殊能力が違ったりする。

攻撃力1.5倍、武器技術熟練度+20%、攻撃速度+5% といった数値に影響するものもあれば、

この槍の様に、片手で装備可能(攻撃力0.75倍)、と言ったような戦闘スタイルに影響を及ぼす物もある。


『槍なのに盾が装備できるってことか。』

歩きながらメニューを操作し、メイスから槍に持ち替えてみる。

『おー、装備できた。』


普段であれば、盾を装備したまま両手武器に持ち替えようとしても、

先に盾を外せとシステムから怒られてしまう。

槍同士で戦う時なんかは、便利そうだなぁ。

などと考えながら歩いていて、ふと気づく。

あれ?今武器を持ち替えたはずのに、5秒のペナルティが無かったような…


思い返せば、さっきの戦闘中もそうだ。

明らかに間に合わないはずのタイミングでガードが間に合ったり、

装備を変えた直後もガードが間に合っていた。

まるで、あるはずの硬直が無かったかのような…


硬直……持ち替えのペナルティ……どちらも動作の束縛か……

束縛……抑制……制限……


もしかしてっ!

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