第3章 第4話
『command use skill slot number two end』
距離を取ったまま囁くようにスキルを発動。
リックの頭上、やや後方に追従型の火を灯す。
そして自分の頭上の火を消す。
若干光源が遠くなるが、大丈夫、十分周りの様子は見える。
「なんだ?とち狂ったか?明るくしてくれてありがとよっ!」
やはり正面から突っこんでくるリック。
ランスの要領で体正面に水平に大剣を構え、こちらもリックに突進する。
お互い攻撃が届く範囲に入ったところで、円を描くように大剣を振り上げる。
そしてリックが振り下ろしてきた大剣をパリィ。
上体が起きたリックに対して背中を向けてぶつかる。
ちらりと地面を見て正面に影が伸びているのを確認すると、そのままリックの腹を蹴り飛ばす。
拳闘士スキルが無いのでダメージは与えられないが、突き放すことには成功する。
シンカーは、攻撃を仕掛けるタイミングをうかがっていたようだが、
急にリックに向かって背を向けた俺に慎重になったようだ。
ここからは先手を取らせてもらおう。
リックを蹴り飛ばした反動を使って、シンカーに突っ込む。
シンカーは普通にやりあっても、今の俺の経験じゃ簡単には倒せなさそうだ。
まずはこの1対1を囮に使わせてもらう。
「背中がガラ空きだけど良いのかい?」
鍔迫り合いをしているシンカーが囁いてくる。
集中を散らしたいのだろう。確かに、気を抜くと攻撃をくらいそうな空気を持っている。
だが、こうして鍔迫り合いを続けていれば、リックは確実に背中から攻撃してくる。
こちらもそのために、わざわざリックの影を作り、影の伸びる長さまで確認しに行ったんだ。
鍔迫り合いを続けながら、足元を確認する。
背後から股下にリックの影が伸びてくる。
今だっ!
思い切り背後に向かって大剣を斬りつける!
ザシュッ
ザシュッ
シンカーの一撃をもらいながらも、俺の大剣がリックの腹を斬り払った!
「なっ、おいっ、なんだこのダメージッ」
わめくリックに、続けて攻撃をしかける。
大剣の遅さはしっかりと理解して身に着けている。
攻撃後の硬直が解けるまでの時間をきっちり確認してから、次の一撃。
やや遅れてシンカーから背後に一撃をもらうが、構わずに驚愕に固まったままのリックに三度の攻撃。
そこで、リックは地に倒れピクリとも動かなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます