第26話 サマンサ王国での一夜
一方、ケトンとミクはこれからのことについて話し合っていた。
ケトン:なあ。ミク。大魔王は本当にウランじゃなきゃ倒せないのか?
ミク:うん。
ケトン:俺が倒したらだめなのか?
ミク:え?もしかしって、最初からそのつもりでこの世界へやってきたの?
ケトン:もちろん。
ミク:無茶よ。大魔王は人間業じゃないのよ。
ケトン:でも、俺はこの世界ではかなり強いと噂されているぞ。
ミク:うぬぼれちゃダメ。この世界の人はみんな必殺技を持っているんだから。
ケトン:確かに。
ミク:それに、金縛りの術にかかるようじゃ大魔王部下四天王のマインドには勝てないよ。
ケトン:マインド?
ミク:マインドは精神系の攻撃をする人だからね。気をつけてね。
ケトン:ああ。でも、ウランはあんまり強くないように思うが。
ミク:それは封印が解けてないだけ。封印がとければ、精神系最大の勇者になるんだから。
ケトン:精神系かあ。それで、ウランは本来ならヘキサンを倒せるはずだったんだな。
ミク:うん。だけど、私が知っている世界と今の世界が全然違う。
ケトン:で、大魔王はどんな奴なんだ?
ミク:大魔王は精神系、魔術系、肉体系の3つを持ち合わせているのよ。ケトンじゃ無理よ。
ケトン:無理と言われたら倒したくなってきた。だが、大魔王は本当に悪なのか?
ミク:え?それは、大魔王だから悪じゃないの?
ケトン:なんかこの世界は善悪がよくわからん。ただ一つ言えることは自分が守りたい者を守るだけだ。
ミク:そうね。
ケトン:で、今後はどうする?
ミク:うん。アインを探すしかないね。
ケトン:そうだな。
と、ここに、ヘキサンがやってきた。
ヘキサン:今の話を聞かせてもらいましたぞ。
ケトン:ヘキサン。何か用か?
ヘキサン:我々も大魔王に手を焼いておる。しかし、カイン王国には過去に恨みがある。カイン王国は今が攻め時だ。ケトンよどうだ。わが国の兵士にならんか?
ケトン:しかし、俺はすでにローラ王女とよしみをかわしている。
ヘキサン:では、こうしよう。ローラ王女は助ける。カイン王国はカイン国王が亡くなったらローラ王女が継げばいい。
ケトン:カイン王国を属国にするのか?
ヘキサン:そうだ。
ケトン:ウランを仲間にしたいが。
ヘキサン:いいでしょう。あと、ケトンはアインシュタイン博士をお探しとか。
ケトン:そうだ。
ヘキサン:アインシュタイン博士はアベル王国にいるとか。そこへ派遣しましょう。
ケトン:アベル王国?
ヘキサン:アベル王国をご存じないんで。
ケトン:俺は知らん。
ミク:でも、アベル王国は広いのよ。どうやって探すの?
ヘキサン:まずはアベル王国を攻め落とす。それから探してもいいと思うが。
ケトン:もしかして、サマンサ王国の野望は世界征服か?
ヘキサン:なかなか勘がいいですね。ですが、世界が一つにならなければ大魔王には勝てないのです。どうか、ご賢察のほどを。
ケトン:なるほど。
ヘキサン:では、わが国の兵士になっていただけるかな。そしたら共に大魔王を倒しましょうぞ。
ケトン:ちょっと考えさせてくれ。
ヘキサン:まあ、いいでしょう。今晩ゆっくり考えて下され。
と、ヘキサンは去っていった。
ミク:ケトン。なんで、考えさせてくれなんて言ったのよ。
ケトン:だってさあ、今すぐ騒ぎを起こしてもしょうがないだろ。それに俺はヘキサンには勝てないんだろ。
ミク:うん。ヘキサンも精神系の戦士だからね。でも、サマンサ王国の兵士になったら、ローラ王女はどうなるの?
ケトン:うーん。やっぱりカイン王国は属国になるのかなあ。なんか、ヘキサン。頭いいよ。
ミク:でも、自分中心よね。
ケトン:だが、それがこの世界の乱世を終わらせるんじゃないか?
ミク:ケトン。よく、この世界が乱世ってわかったね。
ケトン:なんか、大魔王がいるのに国盗りの話をしているからな。
ミク:でも、サマンサ王国が中心で大丈夫かなあ。
ケトン:でも、ミクはデカンが善だって言ってたろ。
ミク:うん。
ケトン:決めた。サマンサ王国の兵士になってみる。
ミク:やめた方がいいって。サマンサ王国の重臣は嫉妬深いものばかりよ。
ケトン:だけどさあ。それしかないんじゃない?
ミク:ヘキサンの話を一方的に聞き過ぎよ。
ケトン:じゃあ、何を基準にすればいいんだ?
ミク:私の言っていることじゃダメ?
ケトン:しかし、ミクの話と現実が違うじゃないか。
ミク:それは、私たちがこの世界へ入ったからよ。
ケトン:なるほど。まあ、とにかく、ミク。今日は寝るぞ。作戦会議はここまでだ。
ミク:ケトン。ケトンはこの世界を知らなさすぎ。
ケトン:だから面白いんじゃないか。
ミク:そうよね。私たち冒険しに来たのよね。
ケトン:じゃあ、寝るぞ。
ミク:うん。お休み。
と、ケトンとミクはサマンサ王国で一夜を明かした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます