ステージ#17:Game Day

#17:Game Day-2066年1月3日(日)

「コルツのパンターサミー・クックのパントは10ヤード付近でサイドラインを割りました。ジャガーズのRETリターナーマット・ナイキストはリターンできませんでした。第4クォーター残り6分22秒。ジャガーズの攻撃が始まります。得点は24対16。ジャガーズは8点差を追いかけます。池川さん、ジャガーズはこの攻撃で点を取れないと苦しくなりますね」

「はい、第4クォーターが始まった時点では24対9でした。ジャガーズはずっとFGフィールドゴールでしか点が取れていなくて、この前のドライブではFGフィールドゴール隊形からスペシャルプレーで1stファーストダウンを獲って、その後ようやくTDタッチダウンを獲ることができました。このドライブは自陣深いところからの攻撃で、TDタッチダウンにつなげるとしたら4分は使うと思いますから、TDタッチダウンを獲って、ツーポイントコンバージョンで同点にしたいですね。もしくは、あまり時間を使わず、FGフィールドゴールで5点差にしておいてから、その後の攻撃に賭ける、という手もあります」

QBクォーターバックアーティー・ナイトのここまでのパスの成績、22回投げて17回成功、146ヤード、TDタッチダウン0、INTインターセプト2です。ただ、コルツは2回のINTインターセプトを得点につなげられてないんですね」

「はい、不思議なもので、ナイトはパントの調子がいつもどおりよくて、全てを相手のインサイド10テンに蹴り込んでるんですが、そこから返されて点を取られてるんですね。もちろん守備ディフェンスがそれだけ踏ん張れていないということで、ナイトや攻撃オフェンスチームのせいではないですけれども」

「自陣10ヤードからの攻撃、レシーバーを左に二人、右のスロットの位置にTEタイトエンドを入れています。QBクォーターバックナイトはセットバックの位置。TEタイトエンドローンが左にインモーション。ナイトはドロップバックして、ハンドオフ・フェイクからターゲットを探しますが……」

「プロテクションは十分ってますよ」

「アンダーニースへパス! 落としましたか?」

「はい、ドロップですね。LBラインバッカーが下がったところにRBランニングバックモスを走り込ませて、そこへ投げたんですけれども、コルツの守備ディフェンスもよく付いていました。スミスですね」

「ダリル・スミスは今年パッカーズから移籍してきました」

「昨年引退したリオン・ルイスの穴を埋めるために獲得した選手ですね。非常にいい活躍をしています」

2ndセカンド10テンです。ショットガン隊形。レシーバーは左に二人、右に一人。その右のレシーバーがゆっくりとモーションして来ました。スナップから3歩ドロップバックして、早いタイミングで左に投げました。通りました! ターゲットはWRジャクソン。1stファーストダウンを取りました」

「左の2人のレシーバーがクロスして、内側にいたジャクソンをサイドライン際に走らせて、少し戻ってきたところへ決めましたね。守備ディフェンスに押し戻されましたが、もちろん捕った位置は10ヤードを超えていましたので、1stファーストダウンです」

「前半からこうした早いタイミングのパスは通りますが、投げ急がされているんでしょうか?」

「そうですね。今のでもナイトにプレッシャーは届いていないんですが、攻撃オフェンスラインのブロックはあまり保ってないですね」

「自陣31ヤードまで進みました。時間がどんどん減っていきます。間もなく残り5分40秒。1stファースト10テン。レシーバーを横に広げてきました。左右に2人ずつ。RBランニングバックはいません。フレッチャーはスクリメージライン上にいますが、無資格レシーバーになっているでしょうか?」

「そうですね。同じライン上の外側にドーキンズがいるので、無資格です。ラインメンは通常どおりなので、左のタックルが有資格という、ちょっと変わったアンバランス隊形ということですね」

「ショットガン隊形から、また早いタイミングのパス! 通りました。TEタイトエンドウィルコックス。また1stファーストダウンを獲りました」

「ナイスパスでしたね。今のはスナップを受けて下がりながら投げてるんじゃないかと思うくらい早いタイミングでした。ウィルコックスもよく捕りました」

「16ヤード獲得。自陣37ヤードまで来ました。攻撃オフェンスラインが保たないのは、前半に右のガードのデレック・スタークが怪我で替わったのが影響しているでしょうか?」

「あるでしょうね。目に見えてそこが弱くなっているわけではないですが、右のタックルあるいはセンターとのコンビネーションがうまくできていないのではないかと思います。RBランニングバックがブロックのフォローに入っているのがたびたび見られますよね」

1stファースト10テン。レシーバーは今度は右に二人、左に一人。ナイトが後ろにいたRBランニングバックに指示を出して、すぐ横の位置に動かしました。プレイクロックは残り4秒、3秒、スナップから3歩下がってまた早いタイミングのパス! またTEタイトエンドに通しました。ブラアン・ローン。ゲインは8ヤードから9ヤード。敵陣が近付いてきました」

「このドライブはパスを投げるタイミングを特に早くしていますね。パスラッシュ対策ですが、守備ディフェンスとしてはレシーバーにタイトに付いてタイミングを狂わせることを狙っています。しかし、これまでとリズムが違うのか、うまく付いて行けてないですね」

「さあ、次のプレイは早く始めて、QBクォーターバックスニークでしたが、ここで反則を示すフラッグ。何でしょうか」

「スニークですから守備ディフェンスの意表を突いて早く始めるのが基本なんですが、1秒静止してなかったかもしれません」

「いや、不正な参加イリーガル・パーティシペーション守備ディフェンスがフィールド上に12人いたという反則でした。5ヤード罰退でジャガーズが1stファーストダウン」

「なるほど、守備ディフェンスの交替が遅れたので、ジャガーズはそれを見逃さなかったんですね。QBクォーターバックスニークでも何でもよくて、とにかく早くプレイを始められれば。ビデオで見ると確かにコルツの選手が一人明らかにサイドラインに出るのが遅れていますね。これは痛いミスです」

「敵陣に入りました。49ヤードから1stファースト10テン。反則で時計が止まって、残り4分24秒」

FGフィールドゴールを蹴るには少なくとも35ヤードまでは進みたいですね」

「また横に大きく広げています。ショットガン隊形で、レシーバーは右に3人、左に二人、RBランニングバックはいません。スナップからまた早く投げます! 今度はターゲットWRワイドレシーバードーキンズ。捕ったでしょうか?」

「捕ってますね。さっきTEタイトエンドをターゲットにした時と全く同じプレイでした。ということはコルツの守備ディフェンスはゾーンで、あのタイミングであそこが確実にオープンになるということですから、コルツは対策しなければいけません。サイドラインからサインを入れないと」

「ゲインは11ヤード、また1stファーストダウンを獲りました。敵陣38ヤード。インバウンズのプレイでしたので時計はどんどん進みます」

「リプレイを見るとドーキンズは落としかけたボールを脚の間に挟んで捕ってますね。先週は同じようなプレイをコルツのサッグズがやりましたが、見習ったんでしょうか。ははは」

「過去には片手とヘルメットの間でボールを捕る、いわゆるヘルメットキャッチというプレイもありました」

「お手玉して背中の方に回りかけたボールを片手で押さえて、というのもありましたね」

「ジャガーズはまたプレイを早く始めます。QBクォーターバックの右にRBランニングバックを置いて、レシーバーは左右に二人ずつ。また早いタイミングのパス! またドーキンズに通しました。4ヤードから5ヤード進みました」

「先ほどからずっと左側へパスを投げてますよね。これは何かの布石だと思うんですが」

守備ディフェンスを左に引き付けて、ドロープレーでRBランニングバックが右にカットバックするとか、そういうプレイが考えられるでしょうか?」

「そうですね。ただエンドゾーンが近くなると守備ディフェンスのいわゆる“人口密度”も上がりますから、短いパスやランは出にくくなると思います」

「そうするとこの辺りでTDタッチダウンを狙うパスを投げますか」

「はい、通らなくても守備ディフェンスの注意を逸らす効果がありますから」

2ndセカンドシックス、ショットガン隊形でまたRBランニングバックを置きません。エンプティー隊形。フレッチャーはまたスクリメージライン上で無資格になっています。残り時間は3分30秒を切りました。また早いタイミングでパス! TEタイトエンドブライアン・ローンが捕りました」

「また短いパスでしたが、1stファーストダウンはぎりぎり獲れてないでしょうか」

「審判のシグナルは3rdサードダウンになっています。1ヤード残りました。このドライブ初めての3rdサードダウンコンバージョンということになります」

「ここまで来るとFGフィールドゴールは確実に入りますが、次にどうするかがポイントですね。刻んで1stファーストダウンを獲るのか、それともTDタッチダウンを狙って長いのを投げるか。一発でTDタッチダウンを獲ると時間がたくさん残りますから、その後相手の攻撃を止めて、自分たちの攻撃時間を十分残すことができます。逆にここで残り2分を切ってしまうと、逆転を狙うにはオンサイドキックを成功させないといけなくなってしまいます」

「ジャガーズはノーハドルで早く始めようとしています。3rdサードワン。エンドゾーンまであと29ヤード。点差は8点。追い付くにはTDタッチダウンを獲ってツーポイントコンバージョンを決める必要があります」

「残り時間によってツーポイントコンバージョンの重要性が変わってくるわけですね」

「隊形はセットバックに変わっています。レシーバーを左右に2人ずつ、後ろにRBランニングバックを置いています。右のスロットに入っていたダレイマスが左にモーション。ナイトはスナップを受けてそのダレイマスへピッチ。ここからダレイマスが走って、あっと!?」

「あー、裏を掻かれましたね!」

「ダレイマスがパス! その先に走っているのはJ・C・ドーキンズ! ワイドオープンになっていました。通った! そのままエンドゾーンへ入ってTDタッチダウン!」

「スペシャルプレーが出ましたね。もちろん用意していたプレイでしょうけど、絶妙のタイミングで使ってきました」

「ナイトからダレイマスへは横パス、ラテラルですから、あそこから前に投げられるわけですね」

「はい。左サイドはレシーバーを二人置いて、ブロッカーのようになっていましたから、守備ディフェンスはダレイマスがそのまま走ると思って、止めるために前へ出てしまったんですね。コルツのCBコーナーバックメルヴィンはドーキンズへのマークを外してしまいました。入れ替わりにSFセーフティがカバーする必要があるんですけれども、ドーキンズはサイドライン際を走っていましたからコース的に間に合わなくて、パスが決まってTDタッチダウンまで行ってしまいました」

「このビデオは……この前のドライブのスペシャルプレイでしょうか」

「はい。50ヤードのFGフィールドゴールを蹴るシーンで、ホルダーのナイトがスナップを受けてセットせずに持って走ったんですね。そのままランで1stファーストダウンを狙うのかと思ったら守備ディフェンスの頭越しにパスを投げて、それをウィングに入っていたブライアン・ローンがダウンフィールドに出て捕って、ゴール前まで行った、というプレイでした」

「ジャガーズはスペシャルプレイを二つ、確実に決めてきました。さて、PATポイント・アフター・タッチダウンツーポイントコンバージョンですね?」

「当然そうなりますね。決めれば同点ですから」

「ゴール前2ヤードにセットしました。タイトな隊形フォーメーションで左にレシーバーを3人入れてバンチ。その左に投げましたが!? あっと、落とした! 落としました! キース・ジャクソン捕れませんでした。同点はなりませんでした。24対22。コルツのリードは2点になりました」

「はい。しかしまだ2分47秒も残っています。コルツは時間を使い切れば勝ち。点を取るのは、TDタッチダウンならいいですが、FGフィールドゴールだと5点差ですから逆転の可能性を残してしまいます。ジャガーズはもちろんコルツの攻撃を止めて、タイムアウトを使って時間を残して、ということになりますね。アーティー・ナイトは逆転カムバックが得意ですから、コルツファンは何とか時間を使い切ってくれ、と思いながら見ることになるでしょう。いやー、心臓に悪いですね」

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