#12:バックステージ (Another)
「ステージの結果について、
男の冷たい声がする。私は彼の声が好きではない。私の声も冷たく聞こえるに違いない。だが、私は感情を押し殺し、感情を悟られないために冷たい声を出す。彼の声には感情が初めからない。
「今回のステージは七つの
総括、ほぼ全ての
ただし、確保のために安全な方法があるにもかかわらず、最も危険な方法を採用し、またその危険に他人を巻き込む傾向があるため、今後の改善が必要である。
本警告は6度目であり、次ステージにおいて改善が見られない場合はターゲットを没収する。
なお、いくつかの
理由、それは、私が彼を……
「いいえ、注意を喚起しただけで、直接的なヒントは与えていない」
「承認する。また、最終的に他の
あのターゲットを持って退出するわけにはいかなかった。あれはおそらく、
「時間切れで
「承認する。講評は以上です。先ほどのステージに対する質問を受け付けます」
「私たち
「シナリオに対する要求は受け付けられません。シナリオの都合上、あらゆる職業の人物が登場することについて、承諾願います」
殺人者も? あるいは、そうかもしれない。
しかし、この仮想世界では、罪を犯すのは私たち
私たちの罪は、一度きり。しかし、シナリオに殺人者が登場するのなら、その世界が再現されるたびに、無辜の人々が悲しむことになる。私たちに、それを止めることができればいいのに。
「他に質問はありますでしょうか」
「彼にまた会うことはできるかしら」
「彼とは?」
「いいえ、もういいの」
「それでは、ハンナ・イヴァンチェンコは第13ステージに移ります。ターゲットは“
装備は標準に戻ります。変更は、金銭の補充以外、特にありません。また、前のステージであなたが新たに入手した装備はありませんでした。装備の変更を行いますか?」
「いいえ」
「了解しました。次に、肩書きについてお知らせします。今回に限り、“
であれば、金庫の中から
彼にまた会うことができるのだろうか。それとも、他の?
「では、表向きの肩書きは、キエフ大学准教授として」
「了解しました」
「それと、名前は……」
名前は……そう、彼女の名前を使わせてもらおう。私同様に、奇行で知られていた女性研究者の名前を。
「アンナ・ジェレズニャク」
「了解しました」
「以上」
「それでは、心の準備ができましたら、お立ち下さい」
身体の感覚が蘇ってくる。肩と足は? 大丈夫、もう痛みはない。ちゃんと治療してくれたらしい。骨折までも、治す……いったいどうやって?
この身体は、私のものではないのだ。そう考えるしかない。
ゆっくりと立ち上がり、背筋を伸ばす。
「ステージを開始します。
目を閉じる。私はまた、光の中へ溶け込んでいく。
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