#11:第7日 (7) 通知あり
12時過ぎ、ようやくスヴェルノセ・ピークに到着。山頂まではまだ1マイル強ある。
4時間で登り切るなんてとんでもない、カーヤの美尻を見ながら
雪の上に、俺の前に通った足跡が2組ある。もちろん、マルーシャとエルラン教授のものだろう。彼らは何分前にここを通り過ぎたのだろうか。
ただ、二人とも7時半頃までレストランにいたのは間違いない。その時点で夜が明け始めていたから、登ることは可能になっていただろう。
そうすると、俺との差は1時間くらいだろうか。あるいは、もっとか。しかし、2時間はないだろう。
目視では、前方に人の姿は確認できない。マルーシャは蛍光イエローのキャップと防寒着だから、双眼鏡であちこち覗けば発見できるかもしれないが、そんなことしている場合じゃない気がする。
エルラン教授については、どんな姿をしているのかも解らない。とりあえず、水を飲む。気持ちは焦るが、休憩と水分補給は大事だ。腹が減ってきたが、食事をしている時間はさすがにないか。チョコレート・バーを、さっと取り出せるところに入れておくべきだったかなあ。
さて行くか、と思ったときに……待て待て待て、周りに黒幕!?
「ステージを中断します。
他の
「ビッティー、一応確認しておくが、俺が山頂に到達して、レスト・ハウスに入っても、宣言するまでは退出しないんだよな?」
「はい」
「これも当然とは思うが、ターゲットを持っている奴を追いかけて、奪い取ることができた場合、違うゲートが案内されることもあるんだよな」
「案内することもありますし、しないこともあります。なお、別のゲートを案内した場合でも、先ほど案内したゲートを使用することが可能です」
訊こうと思っていたことを先に言われてしまった。
「君と通信できるのは、あと2回か? 今日の午後と明日の午前。それに、ターゲットを奪ったら、その時にも話ができるか」
「はい、そのとおりです」
そういえば今日の午前中は通信してなかったな。何も訊くことがなかったせいでもあるが、出発前にビッティーの声くらい聞いておいた方が良かったかもしれない。
あるいは、カーヤと別れた後か。しかし、キスをした後だから、ビッティーを呼び出しにくかったんだよなあ。もちろん、ビッティーはそんなことは気にしないんだけど。
いや、こんな余計なことを考えている場合じゃなくてだな。
「今のペースだと山頂まではあとどれくらいかかる」
「1時間程度です」
「
「ご自分でご確認下さい」
「山頂にはレスト・ハウス以外に何かあるか」
「ありません」
「他に誰か登ってきてる?」
「お答えできません」
情報が少なすぎるな。何が起こったのかの確認も含めて、全ては山頂に到達してからか。
「この後の天気予報はできるか」
「できません」
「そうか、解った。
「ステージを再開します」
黒い壁と木の床が、青い空と雪の斜面に変わった。とにかくあと1時間、歩かなければならない。できれば休憩しない方がいいだろう。
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