#11:第7日 (2) モノローグ (7)

 空に星が還ってきた。

 ここは、ヴィスダレン谷の底。

 西にはこの国の最高峰ガルフピッゲン、東には第2の高峰グリッテルティンド。ここは、この国の屋根。

 夜が明ければ、その他の山々も、姿を現すだろう。そして、私はその高みの一つに登ることだろう。目的のものを手に入れるために。

 しかし、高みに登れば、いずれ降りなければならない。いいえ、落ちるかもしれない。地の底へと。私の足を浸す、この水のように。下へ下へと落ちてゆくのだろう。

 この川はヴィサ。北へ流れ、オッタと合する。そしていずれオスロへ流れ着く。ビスモで見た川のように。

 私は水になりたい。そうすれば、世界を漂い、いずれあなたの元へと流れ着くだろう。あなたと一つになれるだろう。それが私のただ一つの願い。

 彼もまたここへ来た。彼は、間違えたはずだった。だが、何かが彼を救った。それは新たなシナリオだったかもしれない。

 私が彼を助けることもできた。しかし、彼はそれを必要としなかった。彼にはやはり何かがある。私にはない何かが。

 私はそれを利用しなければならない。私の成功のために。

 彼は私の意図に気付くだろうか。彼は私の存在をどう思っているだろうか。彼は何のためにこの世界へ組み込まれたのだろうか。

 彼は遍歴の騎士ナイト・エラントだろうか、それとも黒騎士ブラック・ナイトだろうか。彼のことが、少しだけ、解らなくなってきた。

 しかし、解っていることが一つだけある。彼は私の敵。だが、味方にしなければならない敵。もう一人の敵を躱すために。

 そして、私は私の役割を知っている。私はそれを演じ続けなければならない。私でない、誰かのために。

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