第445話 クィンシーとクチタ

「なあ、なんで俺達が女神とやらの尻拭いをしなくちゃいけないんだ?」


何で俺が・・・・

しらかわがすればいいじゃねえか!


「まあまあ、クィンシーさん、そこはほら、シラカワさんの・・・・パートナー?の部下のミスをどうにかしたいとの希望なんですから?」


だからシラカワが・・・・


「鼻たれ小僧なのは、まだまだみたいね?」


全くどいつもこいつも好き勝手言いやがって・・・・


「お姉さま、その阿保は捨ておきましょう。」


何でこいつにまで馬鹿にされねえとあかんのだ!


とんだ貧乏くじだぜ!


まあいい・・・じゃあ、本格的に下層を調べるか・・・・


・・・・

・・・

・・



・・・・何処にもねえな、空間の歪みとやらは。


「おいリューク!てめえ空間魔法の使い手なんだろ!調べろよ!わかるんじゃねえのか。空間の歪みとやらが。」


「クィンシーさん、魔素が濃いのはわかりますが・・・・付近に何かの空間の変化は、私には認識できませんよ?」


だがなあ・・・・おっと!

たまにミノタウロスやら、色んな魔物が現れるな。


地味に面倒だ。


たまにある安全地帯で休んだりしつつ、調べていると・・・・


気が付けば目の前に、1人の青年がいた。何時の間に?気が付かなかったぞ?

しかしながら・・・・なんとなくシラカワと似てるな・・・顔とかじゃねえぞ?その、髪の毛とか、顔の全体的な特徴というか・・・・

こいつ例のクチタとか言う青年か?話には聞いてるが。


ま、人間だろうし・・・・だがこんな深層へ一人でとか、大丈夫か?


「やあ、俺はクィンシーって言うんだ。今はパーティでここに来てるんだ。君の名は?」


俺がそう聞くと、向こうさんは答えてくれる。


「あ、僕の名は口田士門と言います。」


・・・やはりな。こいつか。


「お?お前二ホンとか言う所から来た異世界人か?」


ざっくり聞いてみよう。


「何故そう思う?」


「ああ、小次郎・・・シラカワのおっさんから聞いてるからな。数か月前に、あいつの好い人の部下のミスで、召喚された連中が居るってな。」


驚いてるな。


「ああ、そう言えばお前の持ってるその剣と服、シラカワのおっさんの作った奴だろう?」


「何でわかるんだ・・・?」


「ほれ、俺の剣だ、見てみろ。」


俺は剣をクチタに渡す。


受け取るクチタ。オウオウ見てやがんな。ま、製作者が同じだからな・・・・


お、納得したのか?


「わかってもらったようだな?」


で・・・ここでクチタとやらが驚きの事実?を教えてくれる。


どうやら今このダンジョンとその周辺は大変な事になっていて、本来下層に出現するミノタウロスが、上層へ・・・しかもレベルの高い状態で出現、低級冒険者共をかなり屠っているらしい。


さらに驚いたのは、ダンジョン外に出現しているって事だ。


キングが何体かいたらしい・・・マジか?

しかし・・・・冒険者に会わなかったぞ?


ま・・・予想はしていたが、どうやら俺達は、たまたまずっと冒険者に遭遇しないルートをたどったらしい。


しかも、他にS級冒険者が2パーティ居たらしいが、2つとも壊滅状態とか。マジか!あ・・・そういや・・・一度こいつシラカワと会すか?なんか精神的に色々抱えてそうだしな・・・・ついでにギルドへ報告入れて貰っとこ。


「ああ、ギルドには、残ったS級パーティは問題ないと伝えてくれ。もう一つは俺達より強いぞ?なにせ勇者・・パーティだからな!あいつら・・・・勇者とその幼馴染は・・・・俺達よりレベルが高いからな。」


あ・・・驚いてるな。だが・・・こいつシラカワ並みのレベルっぽいのだが・・・・


「そんな驚いてもなあ?あんた召喚された時、女の勇者候補もいたんだろう?」


「よく分かったな。」


「伊達に長い事冒険者として最高ランクに居続けてはいないさ。」




その後、5人で食事を・・・・そして、ダンジョンで拠点にしてる場所で寝てもいいと誘ったんだけどな・・・・


で・・・聞くと、此処に来るまでの間に、収納カバンを一度クランメンバーに渡してきたらしい・・・・


「なんだ?おっさんに貰ったカバン、クランのメンバーに渡したのか。じゃあこれ持ってけ。」


どうせあいつから預かったカバンだからな・・・・俺のじゃねえし、いいだろ?


「いいのか?」


「ああいいさ。それより、一度白河・・さんの所に顔出してやんなよ。なんだかんだ言って同郷の奴を気にするからな、奴は。」


ゲートで連れてくか・・・・お、あったあった。


お!あいつ躊躇わず行きやがった。


さ・・・・もうちょい調べとくか・・・・?

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