第426話 ホムンクルスの説明

Ψプシーでございますが、私で238でございます。』


「ちょっと待って!それどういう事?」


『先ほどもお伝えいたしましたが、ホムンクルスの寿命は、概ね80年でございます。』


「それは聞いた。」


『ホムンクルスの成長には時間がかかり、成人まで概ね20年かかります。』


「それも聞いた。」


『私共は、60年程経った後、新たなホムンクルスを起動いたします。』


「えっと、それはどういう事かな?」


『その間、成人するまで、今のΨが、次のΨが成人するまで育てます。』


「・・・それで?」


『新たなΨが成人すれば、現在のΨは必要なくなります。カプセルに入り、記憶を引き継ぎます。』


「・・・・で、その後は?」


『新たなΨが活動を開始し、それまで活動していたΨはそのままカプセルに留まります。それが今目の前にある、これです。』


・・・・これはどう突っ込めばいいんだ?


「えっと、じゃあこのカプセルに入ってるΨって言うのは、死んでいる訳じゃないんだ?」


『そうですね、コールドスリープ状態になっております。万が一の場合、この中から状態の良い元Ψが任務を引き継ぎますが・・・・・その場合、直前にΨだったものが殆どの場合行います。ですが、他のダンジョンでもほんの数例があるのみです。』


・・・・これは困った・・・・


「えっと・・・・ホムンクルスの寿命は概ね80年と言ってたよね・・・・?寿命で死んだ・・・・ホムンクルスはいないの?」


『過去に数例ございます。ただ、寿命か病死かはわかりかねます。それに、ダンジョンの不具合を修復中に不慮の事故で役目を続行するのが困難になったホムンクルスの事例も数例ございます。』


「・・・・その場合は?」


『新たなホムンクルスの育成中の場合、速やかに別のホムンクルスを覚醒させます。任務途中で役目を果たせなくなった場合も、です。』


「えっと、記憶を引き継ぐと言ってたけど・・・・」


『はい、ダンジョンに備わっている装置で記憶をバックアップ、それを次代のホムンクルスに引き継がせます。ですので、Ψに関してはΨ001からの記憶を引き継いでおります。ですので私はΨ238であり、Ψ001でもあります。』


・・・・じゃあ今別の個体を動かしたらどうなるんだ?よくある話だと・・・・同じ人間が存在したら、脳が共鳴を起こし、何たらとか・・・・あまり良い話を聞かないけれど・・・・


「じゃあさ、今この別の・・・・ホムンクルスを覚醒というか、復活というかをすれば、お互いどうなるの?」


『特に問題はございません。Ψが2体存在する意味はありませんので、無駄になりますが。』


「じゃあ・・・・君はダンジョンから出る事は出来るのかい?たとえばおっさんと一緒に暮らすとかは?」


『仰る意味を掴みかねますが、ダンジョン外での活動は可能です。ただ、エネルギーをダンジョン外から得る必要が生じます。』


「ええと、何か食べればいいの?」


『いえ・・・・私共がダンジョンに留まるのは、ダンジョンからエネルギーを得ているからですが、それを外部から得るだけでございます、そう、”珠”があれば個体のエネルギーの補充も問題ございません。あと、微量ながら、男性からエネルギーを供給していただければ、生命活動は維持されます。』


「何でそうなるの!ホムンクルスを作った奴頭おかしいんじゃないの?普通に食事でエネルギー補えないのかよ!」


『白河小次郎様の精神状態に多大な変化を認めます。落ち着きましょう。無論食事でも生命活動は維持できます。排泄等の問題がありますので、ダンジョンでは水分補給のみですが。』


・・・・これからどうするか?


注:おっさんは無意識のうちに、このホムンクルスを連れ帰る事しか考えてません・・・・

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