56話 グッズ案
創作部の面々をモチーフにしたグッズを出すことになったら。
軽いノリで始まった会話は、あっという間に部員全員を巻き込んで盛り上がる。
「無難だけど、悠理の抱き枕なんていいわよねぇ❤」
「いいね~! 表は明るい笑顔で、裏面は小悪魔っぽく誘惑する感じだと最高!」
「わ、腋と、足裏も、み、見えるポーズが、いい」
「蔑みの表情は譲れないわ」
姫歌先輩の意見に端を発し、みんながワイワイと自分の要望を並べた。
私は四人の発想を自分ではなく先輩たちの姿に変換して、脳内で存分に楽しむ。
「私は香水が欲しいです。四人ともすごくいい匂いですし、寝具に使えば幸せな気持ちで眠りに就けますよ」
抱き枕の話が一段落したのを見計らって、すかさず提案する。
ちょっと変態じみた考えかもしれないけど、この場においては数ある意見の一つに過ぎない。
香水とはいえ、先輩たちの匂いに包まれて過ごす夜……うーん、興奮しすぎて逆に眠れない可能性もある。
「いい匂いだなんて、嬉しいわぁ❤ わたしも悠理の匂い、大好きよ❤」
「うんうん、いつでも嗅いでたい匂いだよね!」
「あ、アリスは、む、蒸れてるときの香りも、す、好きだよ」
「名案ね、いろいろと使い道がありそうじゃない」
なかなかの好感触。自分の意見から話が膨らむと、胸の奥から嬉しさが込み上げてくる。
以降も言葉を途切れさせることなく、部活の時間をいっぱいに使って討論会が行われた。
全員が恋人への愛情を根底に置いたグッズ案を出しているおかげで、否定的な反応は一つもなく、終始明るく前向きなムードだった。
なんて、過去形で締めくくることはできない。
家に着いて一息ついたいまでも、グループLINEが賑わっているのだから。
きっと今後も、ふとしたきっかけで話題に上がるに違いない。
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