第1184話 小さくて大きな違和感
目の前には、一瞬現実かと思うほどリアルな世界が広がっていた。
よし、早速神様を探してぶっ倒したいんだが……どこにいるんだ? 空を見上げても流石にいるわけもなく、俺はただただほとんど現実と変わらない世界で、不審な挙動をしている変な人になってしまった。
もし仮にここが現実世界と同じ規模感の世界だとして、そして神様がどこかに隠れているのだとしたら、見つけるのって相当難しいんじゃないか?
せめて神様の居場所が分かる手がかりになるようなものがあればいいんだが……
って、そもそもここにいる神様ってどんな奴なんだ? 俺と同じで生まれてまもない神様なのに、こんな世界を作れるって普通に凄いよな。
「……よし、折角だからゆっくり探索していこう」
神様を倒しちゃったらこの世界も消えちゃうかもしれないし、見て回るだけ損はないだろう。時間制限もないはずだし。
❇︎
そんなこんなで世界を探索すると、一つ気づいたことがあった。この現実世界とほとんど類似しているが、だからこそ感じられる違和感があったのだ。そもそも、俺が現実世界だと感じるためには俺が住んでいる日本っぽくないといけないんだが、この世界はめちゃくちゃ日本っぽいのに、様々な人種がいるのだ。
まるでアメリカかどっかの外国に来たみたいだ。ま、行ったことないけど。
あと、俺の姿は一応この世界の住民たちには見えていないようだ。神様は見えないっているルールっぽいな。不審者にならなくて済みそうだ。
ただ、この世界がどんな世界で、神様がどこにいるのか、それは今の所全く分かりそうにもない。
そんな中、ボケーっと歩いていると小学校のような建物が見えた。中では授業が行われているようだ、子どもたちの声が聞こえる。
どうせ姿は見えないんだし、と思い、ちょっとした好奇心で覗いてみるとそこには驚きの光景が広がっていた。
なんと多種多様な人種の子供達に混ざって大人も授業を受けていたのだ。
え、ここって小学校じゃないの? もしかして大学のような場所なのか? だったら沢山いる子どもたちの方が凄いってことになるが……
いや、それは無いな。今、授業で教えているのは、時計の見方だったり、九九だったりだ。流石にこんな大学あってたまるか。
じゃあ、これは一体どいう状況なんだ?
俺はその小学校のような場所から立ち去り、改めて世界を眺めてみると、他にもいくつもおかしな点があった。
多種多様な人種という域に留まらず、そこら中にいる獣人やエルフ、ドワーフたち、他にも様々な種族が混在している。しかも、一見魔物じゃね? って奴ですら普通におり、普通に生活している。一体どうなってるんだ、この世界は??
「ふっふっふ。初めましてごきげんよう。この世界は全ての多様性を受け入れ、認め、尊重する素晴らしい世界です。ようこそ理想郷フェイルブルへイムへ」
俺が呆気に取られていると、目の前に神と思わしき存在が現れ、自分の世界を紹介してくれた。
「たたた、多様性???」
その神は女性とも男性とも取れるような見た目をしており……顔がとても美しく、なかった。
「ん、ちょっと待て。なんかズルくね?」
これ、俺がこの神様を倒したら俺が一方的に悪者になっちゃわない??
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小学校を見た時点で他の種族の存在に気が付かなかったのは、そこが人間に向けて教育する場だったからです(多分
ってか、どうしてこうなった…
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