第934話 心臓の踊り喰い
ありとあらゆる属性を使う魔法使い、しかもその戦い方は固定砲台のように一方的に打ちまくる戦法。本来ならばその圧倒的弾幕の前に近づくこともできないだろう。悪魔の爺さんもこの戦法だから機動力がなくても戦える素晴らしい戦法だ。
本来ならば、だけど。
「【天翔機動】」
「なにっ!?」
弾幕とは言っても地面に立っている俺に向けられたものだ。その上空にはかなりの空間がある。そして固定砲台の弱点は近づかれると弱い。その二つを意識すれば、
スタッ、グサッ
ほら、この通り、爺さん悪魔を一瞬にして処理することが可能ってわけだ。にしてもやっぱり一撃で心臓を取り出すのって楽しいよな。取り出したてホヤホヤのまだ脈動している感じがなんともたまらん。
そういえば、この心臓からスキルを抽出しているんだったよな? いわゆるこれがガチャの素材ってことだ。個人的にガチャを回せるのならば今すぐ回したいのだが、回すには一度研究所まで戻らなければならない。
でも、悪魔の城で悪魔を倒して心臓を手に入れる度に戻ってたら永遠に攻略することは不可能だろう。んー、でも中身が気になるなー。どうにかして中身を知ることはできないだろうか。
「んな、そうだ」
もうこの状態のままで食って仕舞えばいいじゃんか。心臓にスキルのエキス? 情報? が入っているのならばそれを丸ごと食って仕舞えばスキル発言するんじゃないか?
ってかそもそも一々研究所に戻らないといけないっていうのも面倒だったし、どうにか心臓から直接力を手に入れられるようにしておいた方が楽なはずだ。そうすれば悪魔だけじゃなくて天使にも応用が効くようになる。なんなら色んなモンスターにも使えるかもだしな。
んー、でもいざ食べるとなると少し抵抗があるな。よし、アイツに食わせよう。
『ゾムー!』
「グァ?」
うん、やっぱり毒味と言ったらもう最初から毒みたいなゾムに食わせるのが最適解だろう。デトに食わせてもよかったんだが、別に心臓は毒ではないからな。ほとんど毒のようなものかもしれないが。
だがこれで心臓を食べたらどうなるのか、という疑問に答えが出るはずだ。まあ、答えが出たとしても俺はゾムと一体化してからじゃないと心臓を食べようとは思わないけど、一先ずはこれで心臓のエネルギーをこの場で俺たちの力にすることができるはずだ。
『じゃあ、ゾム、ご飯だよー』
「グ、グァ?」
戸惑っているゾムに無理やり心臓を押しつけた。嫌がってはないよな? スライムとゾンビって雑食の極みみたいなとこあるだろうし、絶対に大丈夫だ。
「……」
「……グァ?」
あ、これもしかして強制進化させた方が良かったパターンか? ゾムに心臓を渡した瞬間に思いついてしまったんだが。ってか、絶対にそっちの方がいいだろ、なんだよ経口摂取って、消化されて終わりだろ。
あーあー、せっかく全属性使えるようになりそうな心臓だったのに、早まったなー。ゾムの体が急に七色に光ったりしないかなー。
「……」
しないかー。どうしよ、地味にショックが大きくて立ち直れないんだが。
「ゾム、魔法撃てるか?」
「グァ?」
がぁあああああああ、やっちまったぁあああ!!
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