第775話 クランと仲間


 クラン抗争ってなんだ? クラン同士で戦うのか? 何だよそれクソ面白そうじゃねーか。俺も魔王軍で参加しようかな!


「……」


 知ってるぜそんなことくらい。ソロの俺じゃ抗争に参加する資格すらないってことくらい、分かってる。ただ妄想の延長線で言ってみただけだ。


 というより、俺はたった今最高レベルに達したんだ。そちらに気を配るほうが建設的というものだろう。建設的の意味は知らないんだけどな。



ーーー称号《至りし者》を獲得しました。


《至りし者》‥最高レベルに到達する。ボーナスSP十五ポイント取得。



 お、SPもくれるっていうのか。今はどんだけSPあっても足りないからな。ありがたい限りだ。ウチの従魔達が総出で喜んでくれることだろう。


 しっかし、クラン抗争かー。絶対に楽しいだろうなー。高校の文化祭みたいに集団で集まって何か一つのことをするって最高だよなー。しかも、高校のクラスのように嫌いな人もいない、価値観の近い人同士でそれを行えるのだからな。


 しかも、クランってことは今まで色んな苦楽を共にしてきているから信頼関係も醸成されているはずだ。楽しくないわけがない。そして、だからこそ俺はこのイベントには絶対に参加できないんだよなー。


 俺はクランに所属しておらず、今から入ったところで信頼関係というものは生まれない。


 このイベントの為に作られたクランに入るなんてのもアリかもしれないが、それはそれで違うし大した結果も残せないだろう。


 まあ、このイベントに関しては諦める他ないな。俺にはソロが似合ってる。いや、俺はソロでもない。従魔がいてくれる。だから良いんだ。


 そしてソイツらの為に俺は必死にSPを稼いであげないといけないんだよな。


『へ、陛下! ご報告があります! これは直接的にSPを得る方法ではないのですが、レベルを下げることによって擬似的にSPを取得する方法というのが見つかりました!』


 ほう? イベントに参加できない俺の心を満たしてくれそうな情報だな。是非とも聞かせてもらおうか。


『場所は王都の教会で行えるようです。そこではお金を払って自分のステータスに振ったSPを買い戻すことと、自分のレベルを下げることができるようです!』


 なるほど、お金を払ってレベルを下げるというのは新鮮な感覚だな。こちとらレベルも失っているのにお金も払わせられるとは。


『さらにデメリットとして経験値が一周目の時よりもあげづらくなる、というものがあるらしく、かなりキツい道のりになる様です!』


 そ、そうか。だが、それも従魔の為、SPを与えるためだ。その為ならどんな修羅の道でも歩んで見せよう。


『貴重な情報提供感謝する。引き続きSP獲得の調査と気が向いたら強い敵の調査も頼む』


『かしこまりました!』


 よし、じゃあいくか。俺にはクランには入っていないが、共に戦う仲間はいる。ソイツらの為なら俺は頑張れるんだ!




 ……あ、お金足りるかな? 150レベル下げるとなったら結構お金持っていかれそうだよな。どうしよ、本気で足りるか心配になってきたぞ? ギルドにお金預けてたっけなー?


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